国連人権委員会の総括所見邦訳完成

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人権委員会

第6回日本定期報告に関する総括所見

1. 委員会は日本が提出した第6回定期報告(CCPR/C/JPN/6)を2014年7月15日及び16日に開催された第3080回(CCPR/C/SR.3080)及び第3081回会合(CCPR/C/SR.3081)において審査し、2014年7月23日に開催された第3091回及び第3092回会合(CCPR/C/SR.3091、CCPR/C/SR.3092)において以下の総括所見を採択した。

A.序論
2. 委員会は日本の第6回定期報告の提出及びその中にあげられた情報を歓迎する。締約国が報告期間中に規約の規定を実施するためにとった措置について締約国の代表団との建設的対話の機会を再びもったことに対して評価を表明する。委員会は質問事項に対する、締約国の書面回答(CCPR/C.JPN/ Q/6/Add.1)及び補足情報、さらにはそれらを補足する代表団の口頭による回答及び書面による補足の情報に感謝する。

B.積極的な側面
3. 委員会は締約国がとった以下の立法および制度的措置を歓迎する。
(a) 2009年12月の日本の人身取引対策行動計画の策定
(b) 2010年12月の第三次男女共同参画基本計画の決定
(c) 公営住宅制度から同性カップルが排除されなくなるという効果をもたらした2012年の公営住宅法の改正
(d) 婚外子に対する差別規定を廃止した2008年の国籍法及び2013年の民法改正

4. 委員会は締約国による以下の国際文書の批准を歓迎する。
(a) 2009年の強制失踪条約→ 強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約
(b) 2014年の障害者権利条約→ 障害者の権利に関する条約

C.主要な懸念事項と勧告

前回の総括所見
5. 委員会は、締約国の第4回・第5回定期報告の審査の後に出された勧告の多くが実施されていないことを懸念する。
締約国は、この総括所見及びこの前の総括所見において委員会が採択した勧告を実施すべきである。

規約の権利の国内裁判所での適用可能性
6. 委員会は、締約国が批准した条約が国内法としての効力を有していることに留意する一方、規約のもとで保護されている権利が裁判所によって適用される事例の数が限られていることを懸念する。(2条)
委員会は、前回の勧告(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ7)を繰り返し、締約国に規約の適用および解釈が下級審を含むあらゆるレベルにおける弁護士、裁判官および検察官の専門職としての研修の一部とされるよう確保するよう求める。締約国はまた、規約のもとで保護される権利の侵害に対する効果的な救済を確保すべきである。締約国は個人通報手続を規定する選択議定書の加入を検討すべきである。

 

国内人権機関
7. 委員会は、2012年11月に人権委員会設置法案が廃案とされて以降、締約国が統合された国内人権機関を設置するためにまったく前進していないことを遺憾とともに留意する。(2条)
委員会は前回の勧告(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ9)を繰り返し、締約国に、パリ原則(総会決議48/134付属)に沿った、幅広く人権に関する権限を持つ、独立した国内人権機関を設置することを再度検討し、十分な財政的及び人的資源を割り当てることを勧告する。

 

ジェンダー平等
8. 委員会は、女性に離婚後6か月間の再婚を禁止し、男性と女性とで異なる婚姻最低年齢を設けている民法の差別的条項の改正を、「婚姻制度や家族の基本的考え方に影響を及ぼしかねない」ことを理由に、締約国が拒絶し続けていることを懸念する。(2条、3条、23条、及び26条)
締約国は、家庭内及び社会における女性と男性の役割に関するステレオタイプが法のもとの平等への女性の権利を侵害していることを正当化するために利用されないよう確保すべきである。それゆえ、締約国は、これに従って民法の改正のための緊急の行動をとるべきである。

9. 委員会は、第三次男女共同参画基本計画の採択を歓迎する一方、政治的役割を担う女性の数が少ないという点を考慮して、上記計画の効果が限定的であることを懸念する。委員会は、部落の女性を含むマイノリティ女性の、政治的意思決定の地位への参画についての情報が不足していることを遺憾に思う。女性がパートタイム労働力の70%を占め、同等の仕事をする男性が受け取る給与の58%しか得ていないとの報告を懸念する。委員会は、また、セクシュアル・ハラスメント及び妊娠・出産による女性の解雇に対する罰則措置が欠如していることに懸念を表明する(2条、3条、及び26条)。
締約国は、第三次男女共同参画基本計画の進捗を効果的に監視及び評価をし、たとえば政党における法定のクォータ制等、暫定的特別措置を採ることを含めて、公的分野での女性の参画を増加させるための迅速な行動をとるべきである。締約国は、部落の女性を含む、マイノリティの女性の政治的参加を評価し支援するための具体的な措置をとり、女性をフルタイムの労働者として採用することを促進し、男女の賃金格差を縮める努力を倍加させるべきである。また、締約国は、セクシュアル・ハラスメントを犯罪とし、妊娠・出産による不公正な取扱いを禁止し、適切な罰則を伴う制裁をするよう、必要な立法的措置を講ずるべきである。

ジェンダーに基づく暴力及びドメスティック・バイオレンス
10. 委員会は、前回の総括所見にも関わらず、締約国が、刑法における強姦の定義の範囲の拡大、性交同意年齢を13歳を超える年齢に設定すること、及び強姦罪や他の性犯罪を非親告罪とすることをまったく進展させていないことについて遺憾に思う。また、委員会は、ドメスティック・バイオレンスが依然として蔓延しており、保護命令発令までの手続きに時間がかかりすぎ、及び、処罰された加害者の人数が非常に少ないということに懸念をもって留意する。さらに、委員会は、同性カップル及び移住女性に不十分にしか保護が提供されていない報告を懸念する。(3条、6条、7条、及び26条)

前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ 14 、15)に従って、締約国は、第三次男女共同参画基本計画に記載されている通り、強姦やその他の性犯罪を告訴なしで起訴できるようにし、遅滞なく性交同意年齢を引き上げ、性犯罪の構成要件を見直すための具体的な行動をとるべきである。締約国は、同性カップル間のものも含めて、すべてのドメスティック・バイオレンスについての報告について、徹底的に捜査がなされ、加害者が訴追され、有罪になった場合には適正な制裁で処罰されること、そして、緊急保護命令を与えられること及び性暴力の被害者である移住女性の在留資格を喪失させないことを含めて、被害者が適切な保護を利用できることを保証できるよう努力を強化すべきである。

 

性的指向およびジェンダー・アイデンティティに基づく差別
11. 委員会は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル及びトランスジェンダーの人びと(LGBT)への社会的ハラスメントおよび汚名に関する報告、及び自治体が運営する住宅制度から同性カップルを実質的に排除する差別的規定に関する報告を懸念する。(2条、及び26条)
締約国は、性的指向およびジェンダー・アイデンティティを含むあらゆる理由に基づく差別を禁止し、差別の被害者に効果的で適切な救済を提供する包括的な差別禁止法を採択すべきである。締約国はLGBTの人びとに対するステレオタイプや偏見と闘うための啓発活動を強化し、LGBTの人びとに対するハラスメントの申し立てを捜査し、それらを防止する適切な措置をとるべきである。締約国はまた、自治体レベルの公営住宅事業に関して同性カップルに適用される入居要件に残されている制限も取り除くべきである。

 

ヘイトスピーチと人種差別
12. 委員会は、朝鮮・韓国人、中国人または部落民などのマイノリティ集団の構成員に対する憎悪と差別を扇動している広範囲におよぶ人種主義的言説と、これらの行為に対する刑法と民法上の保護の不十分さに懸念を表明する。委員会はまた、許可されて行われる過激論者による示威行動の多さ、外国人生徒・学生を含むマイノリティに対するハラスメントと暴力、民間施設における「ジャパニーズ・オンリー」などの看板・張り紙を公然と表示することにも懸念を表明する。(2条、19条、20条、及び27条)
締約国は、差別、敵意または暴力の扇動となる、人種的優越または憎悪を唱えるあらゆる宣伝を禁止すべきであり、またそのような宣伝を広めることを意図した示威行動を禁止すべきである。締約国はまた、人種主義に反対する意識啓発キャンペーンのために十分な資源の配分を行うとともに、裁判官、検察官、警察官が憎悪および人種的動機に基づく犯罪を発見する力をつける訓練を受けることを確保するための取り組みを強化すべきである。締約国はまた、人種主義的攻撃を防止し、容疑者が徹底的に捜査され、起訴され、有罪判決を受けた場合には適切な制裁により処罰されることを確保するためのあらゆる必要な措置をとるべきである。

 

死刑制度
13. 委員会は、死刑が相当する19の犯罪のうちいくつかの罪が、死刑を≪最も重大な犯罪≫に限るとの規約の要請を充たしていないこと、死刑確定者がいまだに死刑執行まで最長で40年の期間、昼夜間独居に置かれていること、死刑確定者もその家族も死刑執行の日以前に事前の告知を与えられていないことについて、依然として懸念を抱く。さらに委員会は、死刑確定者とその弁護人との面会の秘密性が保証されていないこと、死刑執行に直面する人が「心神喪失状態」にあるか否かに関する精神状態の検査が独立していないこと、再審請求あるいは恩赦の請求に死刑執行を停止する効果がなく、有効でないことに留意する。そのうえ、袴田巌の事件を含め、強制された自白の結果としてさまざまな機会に死刑が科されてきたという報告は、懸念される事項である(2条、 6条、7条、9条、及び14条)。
締約国は、以下の行動をとるべきである。
(a) 死刑の廃止を十分に考慮すること、あるいはその代替として、死刑を科しうる犯罪の数を、生命の喪失に至る最も重大な犯罪に削減すること。
(b) 死刑確定者とその家族に対し予定されている死刑執行の日時を合理的な余裕をもって事前告知すること、及び、死刑確定者に対して非常に例外的な事情がある場合であり、かつ、厳格に制限された期間を除き、昼夜独居処遇を科さないことにより、死刑確定者の収容体制が残虐、非人道的あるいは品位を傷つける取扱いまたは刑罰とならないように確保すること。
(c) とりわけ、弁護側にすべての検察側資料への全面的なアクセスを保証し、かつ、拷問あるいは虐待により得られた自白が証拠として用いられることがないよう確保することによって、不当な死刑判決に対する法的な安全装置を即時に強化すること。
(d) 委員会の前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ17)の観点から、再審あるいは恩赦の申請に執行停止効果を持たせたうえで死刑事件における義務的かつ効果的な再審査の制度を確立し、かつ、死刑確定者とその弁護人との間における再審請求に関するすべての面会の厳格な秘密性を保証すること。
(e) 死刑確定者の精神状態の健康に関する独立した審査の制度を確立すること。
(f) 死刑の廃止を目指し、規約の第二選択議定書への加入を考慮すること。

 

「慰安婦」に対する性奴隷慣行
14.  委員会は、締約国が、慰安所のこれらの女性たちの「募集、移送及び管理」は、軍又は軍のために行動した者たちにより、脅迫や強圧によって総じて本人たちの意に反して行われた事例が数多くあったとしているにもかかわらず、「慰安婦」は戦時中日本軍によって「強制的に連行」されたのではなかったとする締約国の矛盾する立場を懸念する。委員会は、被害者の意思に反して行われたそうした行為はいかなるものであれ、締約国の直接的な法的責任をともなう人権侵害とみなすに十分であると考える。委員会は、公人によるものおよび締約国の曖昧な態度によって助長されたものを含め、元「慰安婦」の社会的評価に対する攻撃によって、彼女たちが再度被害を受けることについても懸念する。委員会はさらに、被害者によって日本の裁判所に提起されたすべての損害賠償請求が棄却され、また、加害者に対する刑事捜査及び訴追を求めるすべての告訴告発が時効を理由に拒絶されたとの情報を考慮に入れる。委員会は、この状況は被害者の人権が今も引き続き侵害されていることを反映するとともに、過去の人権侵害の被害者としての彼女たちに入手可能な効果的な救済が欠如していることを反映していると考える(2条、7条、及び8条)。
締約国は、以下を確保するため、即時かつ効果的な立法的及び行政的な措置をとるべきである。
(i) 戦時中、「慰安婦」に対して日本軍が犯した性奴隷あるいはその他の人権侵害に対するすべての訴えは、効果的かつ独立、公正に捜査され、加害者は訴追され、そして有罪判決がでれば処罰すること。
(ii) 被害者とその家族の司法へのアクセスおよび完全な被害回復。
(iii) 入手可能なすべての証拠の開示。
(iv) 教科書への十分な記述を含む、この問題に関する生徒・学生と一般市民の教育。
(v) 公での謝罪を表明することおよび締約国の責任の公的認知。
(vi) 被害者を侮辱あるいは事件を否定するすべての試みへの非難。

 

人身取引
15. 委員会は、締約国の人身取引への取り組みを評価する一方、人身取引が根強く続くこと、また、加害者に懲役刑が科される件数が少ないこと、裁判にかけられる強制労働の事例がないこと、被害者認定が減少していること、および被害者への支援が不十分であることを引き続き懸念する。(8条)
前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ 23)に従って、締約国は以下の行動をとるべきである。
(a) 特に強制労働の被害者について、被害者認定手続きを強化し、労働基準監督官を含むすべての法執行者に対して専門訓練を提供すること。
(b) 加害者を精力的に捜査及び訴追し、有罪になった場合には、行為の深刻さに見合う刑罰を科すこと。
(c) 通訳サービス及び損害賠償請求のための法的支援を含む、現行の被害者保護の措置を強化すること。

 

技能実習制度(TITP)
16.  委員会は、外国人技能実習生に対する労働法制の保護を拡充した制度改正にもかかわらず、同制度のもとで性的虐待、労働に関係する死亡、強制労働となりえる状況に関する報告がいまだに多く存在することを懸念とともに留意する。(2条、及び8条)
前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ24)に従って、締約国は現在の制度を低賃金労働者の雇用よりも能力開発に焦点を置く新しい制度に代えることを真剣に検討すべきである。他方で締約国は、事業場等立ち入り調査の回数を増やし、独立した苦情申し立ての制度を設置し、労働搾取の人身売買その他労働法違反事案を効果的に調査し、起訴し、制裁を科すべきである。

 

非自発的入院
17. 委員会は、非常に多くの精神障害者が極めて広汎な要件で、そして自らの権利侵害に異議申し立てする有効な救済手段へのアクセスなしに非自発的入院を強いられていること、また代替サービスの欠如により入院が不要に長期化していると報告されていることを懸念する。(7条、及び9条)
締約国は以下の行動をとるべきである。
(a) 精神障害者に対して地域に基盤のあるまたは代替のサービスを増やすこと。
(b) 強制入院が、最後の手段としてのみ必要最小限の期間、本人の受ける害から本人を守りあるいは他害を避けることを目的として必要で均衡が取れる時にのみ行われることを確保すること。
(c) 精神科の施設に対して、虐待を有効に捜査、処罰し、被害者またはその家族に賠償を提供することを目的とする、有効で独立した監視及び報告体制を確保すること。

 

代用監獄(代替収容制度)と強制自白
18. 委員会は、締約国が利用可能な資源が不足していること、及び犯罪捜査のためにこの制度が効率的であることを理由に、代用監獄の使用を正当化し続けていることを遺憾に思う。委員会は、起訴前に、保釈の権利が欠如し、あるいは国選弁護を受ける権利がないことが、代用監獄において強制による自白を引き出す危険を強めていることに引き続き懸念する。さらに、委員会は、取調べの実施に関して厳しい規則が存在しないことに懸念を表明し、2014年「改革プラン」で提案されている取調べのビデオ録画が義務づけられた範囲が限られていることを遺憾に思う。(7条、9条、10条、及び14条)
締約国は、代替収容制度を廃止するか、さもなければ、制度が規約9条と規約14条におけるすべての保証に完全に適合していることを特に以下のことを保証することにより確保すべきである:
(a)保釈などの勾留に代わる措置が、起訴前の勾留中にも十分に考慮されること。
(b)すべての被疑者が逮捕時から弁護人の援助を受ける権利を保証され、弁護人が取調中に立ち会うこと。
(c)取調べについて、継続時間の厳格な時間的制約及び方法を設定する立法措置と取調べ全体にわたるビデオ録画。
(d)都道府県公安委員会から独立しており、迅速、公平かつ効果的に取調中に行われた拷問や虐待の申し立てについて調査する権限を持つ不服審査制度。

 

庇護申請者と非正規滞在者の強制退去と拘禁
19. 委員会は、2010年には一人の死亡に至ったような、退去強制手続き中の虐待の事例が報告されていることに懸念を表明する。委員会はまた、出入国管理及び難民認定法の改定にもかかわらず、ノン・ルフールマン原則が実務上効果的に実施されていないことについても懸念する。さらに委員会は、難民不認定処分に対する停止的効果を持つ独立した不服申し立て制度が欠如していること、及び十分な理由が与えられず、また収容の是非を判断する独立した審査もないまま、長期的な行政収容が行われていることを引き続き懸念する。(2条、7条、9条、及び13条)
締約国は、以下のことを実施すべきである:
(a) 退去強制手続き中に、移住者が虐待を受けることがないよう保証するあらゆる適切な措置をとること。
(b) 国際的保護を申請しているすべての人に、保護の可否に関する決定について、及び拷問などを受ける場所への退去からの保護に関して公正な手続きへのアクセスが提供されるよう確保し、難民不認定処分に対して、退去執行を停止する効果を持つ独立した不服申し立て制度へのアクセスを確保すること。
(c) 行政収容が最小限の適切な期間となること、そして収容に代わる現存の方法が十分に考慮された上でのみなされること、そして、移住者が自身の収容に関する合法性を判定する訴訟を提起できることを確保すること。

 

ムスリムに対する監視
20. 委員会は、法執行者によるムスリムに対する広範な監視活動が報告されていることを懸念する。(2条、17条、及び26条)
締約国は以下のことを実施すべきである。
(a) 法執行者に対し、異文化の理解、及び法執行者によるムスリムへの広範な監視活動を含む人種的プロファイリングが許容されないことについて、訓練を実施すること。(b) 権力が濫用された場合には、影響を受けた人びとが効果的な救済手段へのアクセスを亨有していることを確保すること。

(b) 権力が濫用された場合には、影響を受けた人びとが効果的な救済手段へのアクセスを亨有していることを確保すること。

 

誘拐と強制改宗
21. 委員会は、新しい宗教運動への改宗者の家族による、その人たちを再改宗させるための誘拐や監禁に関する報告を懸念する。(2条、9条、18条、及び26条)
締約国はすべての人の宗教または信念を受け入れまたは有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない権利を保証する効果的な措置をとるべきである。

 

公共の福祉を理由とする基本的人権の制限
22. 委員会は、「公共の福祉」の概念はあいまいであり、無制限であるということ、そして、規約のもとで許容されるものを大きく超える制約を許容するかもしれないということへの懸念を改めて表明する。(2条、18条、及び19条)
委員会は、前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ10)を想起し、第18・19条の第3段落における厳しい条件を満たさない限り、思想、良心、宗教の自由や表現の自由の権利に対するいかなる制約をも押し付けることを差し控えるように締約国に要求する。

 

特定秘密保護法
23. 委員会は、最近採択された特定秘密保護法が、秘密に特定できる事項に関する定義が広くて曖昧であること、秘密指定に関して一般的な条件を含んでいること、そしてジャーナリストや人権擁護者の活動に深刻な萎縮効果を及ぼしうる重い刑罰を課していることを懸念する。(19条)
締約国は特定秘密保護法とその適用が、第19条の厳格な要求を満たすことを確保するように、必要なすべての措置をとるべきであり、特に以下の点を保証すべきである。
(a) 秘密に指定される情報のカテゴリーが狭く定義され、情報を求め、受け、伝える権利へのいかなる制約も、適法性、均衡性の原則、及び国家の安全保障に対する具体的で明白な脅威を防ぐために必要であるという原則を満たすものであること。
(b) 国家の安全保障を害しない正当な公益に資する情報を流布したことで、いかなる個人も刑罰を受けないこと。

 

福島原子力災害
24. 委員会は、締約国が福島に許容する公衆の被ばく限度が高いこと、数か所の避難区域の解除が決定され、人びとが放射能で高度に汚染された地域に帰還するしか選択肢がない状況に置かれていることを懸念する。(6条、12条、及び19条)
締約国は福島原発事故の影響を受けた人びとの生命を保護するために必要なあらゆる措置を講ずるべきであり、放射線のレベルが住民にリスクをもたらさないといえる場合でない限り、汚染地域の避難区域の指定を解除すべきでない。締約国は放射線量のレベルをモニタリングし、こうした情報を時機にかなった方法で、原発事故の影響を受けている人びとに提供すべきである。

 

体罰
25. 委員会は、体罰が学校においてのみ明示に禁止されていることを認め、その蔓延と社会的容認に懸念を表明する。(7条、及び24条)
締約国は、あらゆる状況での体罰を撤廃するために、適切な場合は立法措置も含む実践的な措置をとるべきである。体罰の代替として、懲戒の非暴力的な形態を促進し、体罰の有害な影響に関する意識を高めるための公共情報キャンペーンを行うべきである。

 

先住民族の権利
26.アイヌ民族を先住民族として認めたことを歓迎する一方で、委員会は、琉球・沖縄の人びとが認められていないこと、並びにこれら集団の伝統的土地と資源の権利あるいはその子どもたちが独自の言語で教育を受ける権利が認められていないことへの懸念を繰り返す。(27条)
締約国は、法律を改正して、アイヌおよび琉球・沖縄のコミュニティの伝統的土地と自然資源への権利を全面的に保証するようさらなる措置をとり、これら人びとに影響を及ぼす政策について自由に事前にそして情報を得た上で参加する権利の尊重を確保し、可能な範囲で、その子どもたちが独自の言語で教育をうけることを促進すべきである。

 

27. 締約国は規約、第6回定期報告の文書、委員会にそって作成された質問事項に対する書面回答および本総括所見を司法、立法及び行政当局、市民社会及び国内で活動する非政府組織ならびに一般に幅広く広めるべきである。

28. 委員会の手続規則第71条5項に従い、締約国は1年以内に上記第13、14、16および18パラグラフにおいてなされた委員会の勧告の実施に関連する情報を提供すべきである。

29. 委員会は締約国に2018年7月31日を期限とする次回定期報告に、すべての勧告の実施及び規約全体に関する具体的で最新の情報を提供するよう要請する。委員会はまた、締約国に次回定期報告を作成する際、市民社会及び国内で活動する非政府組織と広く協議するよう要請する。

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**この文書は自由権規約日本審査に関わられた多くのNGOにより翻訳されました。

2014年7月 国連人権委員会総括所見、精神の部分邦訳

非自発的入院
17 非常に多くの精神障害者が極めて広汎な要件で、そして自らの権利侵害に異議申し立てする有効な法的な救済手段なしに非自発的入院を強いられていること、また代替サービスの欠如により入院が不要に長期化していると報告されていることに、委員会は懸念を表明する。(7条および9条)
国家は以下を行わねばならない
(a) 精神障害者に対して地域に基盤のある代替のサービスを増やすこと
(b) 強制入院は、最後の手段としてのみ必要最小限の期間、本人の受ける害から本人を守りあるいは他害を避けることを目的として必要で均衡が取れる時にのみ行われることを確保すること
(c) 精神科の施設に対して、虐待を有効に捜査し罰し、被害者またはその家族に賠償を提供することを目的として、有効で独立した監視と報告体制を確保すること

(b)については、障害者権利条約の水準 強制入院強制医療の廃止という視点から言うと非常に問題、ではありますが、
指摘は正しいし、(a)(c)については今までになかった勧告です
最後については障害者虐待防止法の対象から病院が外れていること、さらに拷問等禁止条約の選択議定書による国内防止期間がないことが大問題であること
とりわけ障害者虐待防止法の見直しは来年 全く議論されていない状態ですが、何らかの動き作る必要があると考えますが

報告ビラは以下からダウンロード
20140725記者会見CCPR

自由権規約一般見解35 段落19への手紙

現在自由権規約の9条 人身の自由と安全恣意的拘禁からの自由 についての一般見解が自由権規約の委員会で議論され、草案が示され5月末までに意見募集がされていました

精神障害者を中心に障害者権利条約の専門家が連名で意見を提出しました

関係文書はいかに掲載中です
こちら

以下はこの手紙を邦訳したものです
全国「精神病」者集団も連名しております

下記に署名した組織及び個人の専門家は、一般見解No.35草案の、規約9条のもとで精神保健による拘禁が認められるとしている先に出されている19段落について撤回することを強く求める。我々は人権委員会に、これに代わり障害者権利条約のもとで作り上げられた、精神保健による拘禁と強制医療をいかなる形であれ禁じている新たな基準を採用することを呼びかける。

人権委員会の規約9条に対する一般見解草案19段落は、特に、障害者が他のものとの平等を基礎として人の自由と安全を享受する権利について直接述べている障害者権利条約14条に矛盾する。障害者権利条約は既存の拘束力のない宣言とは異なり、自傷他害を防止するといった追加の因子や根拠があった時も含めて、精神保健を根拠とした拘禁を禁止している。

障害者権利条約委員会の解釈として、14条は、いかなる種類の精神保健施設にも何人も拘禁されないこと、そして精神障害者の拘禁を正当化する法律条項の撤廃を、確保することを締約国の義務としている、となっている。これには自傷他害の危険が潜在的にあるものとしてあるいはケアと治療の必要性のあるものとして精神障害を描く法律条項も含まれる。人身の自由と安全の障害者権利条約14条に加え、障害者権利条約一般見解No.1は自由なインフォームドコンセントなしのあるいは人の意志に反した施設収容は恣意的拘禁であり、法の前での平等な認知を定めた12条違反であるとしている。人の実際にあるあるいはあると推測される精神的能力の欠損あるいは意志決定能力の欠損は、医療について(精神医療も含め)の意思決定できる地位と機能を含む法的能力の否定を正当化できない。最善の利益という判断よりもむしろ本人の意志と選好を基礎とした意志決定への支援が提供されなければならない。障害者権利条約のもとでの一連の最終意見は、すべての保健及び精神保健サービスは当事者の自由なインフォームドコンセントに基づくよう確保することが締約国の義務であると、繰り返し強調している。一般見解NO.1は精神医療の強制を12条のもとでの医療についての決定権侵害であるとともに拷問からの自由の侵害であると位置づけ、その廃絶を要請している。

精神保健による拘禁と強制医療に対する寛容というよりは禁止という新たな基準は、人権委員会が採用した基準が、他のものとの平等を基礎とした自由と安全の享受、そして規約2条と9条のもとでの恣意的拘禁からの自由を精神障害者の権利として保障するには不適切であることを示している。人権委員会は19段落を削除し、代わりに精神保健による拘禁と強制医療は、人身の自由と安全の権利と恣意的拘禁からの自由の権利に対する正当化し得ない侵害であると宣言しなければならない

人権委員会は障害者権利条約委員会とともに、いかなる精神保健施設に誰一人として拘禁されないことそしてすべての精神保健サービスは当事者の自由なインフォームドコンセントにのみ基づくことを確保すべきと締約国に要請するべきである。危機的な状況かも含み常に、精神保健サービスと入院についての同意あるいは同意の撤回のための精神障害者の法的能力は尊重されなければならず、最善の利益ではなくむしろ人の意志と選好に基づいた意思決定支援が提供されなければならない。また障害者権利条約14条の2項に従い、障害者は一般の人に適用されるいかなる形態の拘禁も免除されずそして、そうした拘禁の際に他のものと同様の平等な保障を受ける権利があり、さらに合理的配慮の条項も含む障害者の権利に関する国際法にある最高の基準に従って処遇される権利がある、とすることを望ましいかもしれない。人身の自由と安全の条項についての一般見解草案は、それがこの新しい基準を採用すると宣言するのに理想的な文章であり、それにより、他のものとの平等を基礎として精神障害者は規約のもとのすべての権利を完全に享受し行使することを確保されることになり、すべての締約国はその義務を自覚することになる。

 

以下は問題の段落19

人権委員会 9条一般意見草案19段落

 

19. 締約国は恣意的拘禁を避けるために精神保健分野における時代遅れの法律と履行を撤回すべきである。いかなる自由の剥奪も、自傷を避ける事が問題になっていたりあるいは他害を避けることが問題となっていたりする人を保護する目的のために必要なものであり、不均衡なものであってはならない。それはより制限の少ない代替手段を考慮したものでなければならす、法による適切な手続及び実体のあるセーフガードを伴わなければならない。手続きは患者の視点を尊重することを確保しなければならずまた、また後見にあるいは代理人が本質的に患者の希望と利益を代弁しまた防衛することを確保しなければならない。締約国は収容された人に対して、その拘禁を正当化するとされている目的にあった治療プログラムを提供しなければならない。自由の剥奪はその継続の必要性の観点から適切な期間に再評価されなければならない。患者は、拘禁の際にそしてその後も定期的に、拘禁の合法性の審査も含んで、権利の実現のための有効な救済を求められるよう支援されなければならない。また患者は規約に従った拘禁条件を確保するために救済を求めるために支援されなければならない。

国連自由権規約委員会ロビーイング活動へのカンパのお願い

以下のレポートを7月の日本政府報告書審査に向けパラレルレポートとして提出しました
こちら

昨年の拷問等禁止条約委員会へのロビーイングは成功し、精神障害者団体として初めての活動でもあり日本の精神医療の実態を全面的に批判する勧告を勝ち取りました。

今年7月にも自由権規約委員会の日本政府報告書審査があります。すでに全国「精神病」者集団として日本政府に対しての質問内容を要請し、委員会から精神医療に対しての質問、日本政府の回答文章が出ております。政府回答は実態に全く触れない、法条文の説明のみの無内容なものであり、6月10日付で全国「精神病」者集団としてパラレルレポートを出しました。障害者権利条約の水準に合わせ一切の強制入院制度強制医療の廃止と総合的な患者の権利法制、そして隔離収容の被害者の救済と賠償を求め、病棟転換居住系施設阻止の勧告を求めています。
実際に委員の皆さんと顔を合わせてロビーイングすることが非常に重要です。今回もジュネーブに行き活動してきたいと考えております。
皆様ご多用のおり大変恐縮ですが、約25万円かかるジュネーブ渡航費用に向けてカンパをお願い致します。カンパいただいた方には報告など改めてお送りいたします
一口1000円
振込先 郵便振替口座00170-3-36736
口座名義 山本眞理

昨年5月の拷問等禁止条約委員会の勧告は以下日弁連のサイトに全文邦訳掲載
こちら
精神の部分は以下
日本の第二回定期報告に対する最終見解
第55回会期(2013年5月6日から31日)委員会により採択

精神保健ケア
22 精神保健施設に対して運用上の制限を確立している精神保健福祉法にもかかわらず、また締約国代表の提供した追加情報にもかかわらず、委員会は非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間精神保健ケア施設に非自発的に留められていることに懸念を持たざるをえない。非人道的で品位を汚す程度におよびうる行為である、独居拘禁、身体拘束そして強制医療が頻繁に行われていることを、委員会はさらに懸念する。精神保健ケアに関する計画についての対話の間に得られて情報を考慮しても、委員会は精神障害者の入院に対するオルタナティブに焦点を当てたものに欠けていることに懸念を持たざるをえない。最後に、拘束的な方法が過剰に使用されていることへの効果的で公平な調査がしばしば欠けていること、同様に関連する統計的データが欠けていることに懸念を表明する(2,11,13,16条)
委員会は締約国に対して以下を確保するよう要請する
(a) 非自発的治療と収容に対して効果的な法的なコントロールを確立すること、同様に効果な不服申立ての機構を確立すること
(b) 外来と地域でのサービスを開発し収容されている患者数を減らすこと
(c) 精神医療および社会的ケア施設を含む自由の剥奪が行われるすべての場において、効果的な法的なセーフガードが守られること
(d) 効果的な不服申立ての機関へのアクセスを強化すること
(e) 身体拘束と独居拘禁が避けられ、あるいはコントロールのためのすべての代替手段がつきた時に、最後の手段として可能な限り最小限の期間、厳しい医療的監督下でいかなるこうした行為も適切に記録された上で、適用されること
(f) こうした拘束的な方法が過剰に使用され患者を傷つける結果をもたらした場合には、効果的で公平な調査が行われること
(g) 被害者に対して救済と賠償が提供されること
(h) 独立した監視機関がすべての精神医療施設に対して定期的訪問を行うことを確保すること
原文は以下 (精神保健の部分のみ山本眞理仮訳)

なお自由権規約委員会から日本政府が受けた質問は以下
生命の権利、拷問および残虐で非人道的品位を汚す処遇の禁止、自由を奪われた人の処遇、公正な裁判の権利(6条、7条、9条、10条と14条)
11 精神保健福祉法の最近の改正にもかかわらず、精神障害者への政策が、大量の人が非自発的に入院させられておりしかもしばしば長期にわたっていることを維持し続けていることについて、報告においてコメントされたい 精神障害者の入院に代わる代替措置があるのか否か、また非自発的な拘禁に対して司法審査へのアクセスも含む有効な法的セーフガードが存在するのか否かについてしめされたい

パラレルレポート日本政府報告書へ向けて 2014年第111回人権委員会

重要質問事項及びそれに対する日本政府の回答 日弁連のサイトより

レポート原文英語
レポート邦訳
池原さんの報告の最後には以下の表から、病院名を省いたものが添付されています
精神病院不祥事件

池原さんのレポートに添えられた、保護室の監視カメラがとった暴行現場の画像

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以下レポート結論部分
勧告

緊急に、精神病院病棟を居住系施設に転換し、長期入院患者をそこに移すことをやめること。これは最悪の人権侵害である。

 

緊急にすべての医療そして精神医療治療と入院において当事者の自由な説明と同意を確保し、非差別に基づいて精神医療、医療入院を総合的な患者の権利法制に組み入れること とりわけ、自由な説明された同意は、家族、医師、後見人等の第三者などによるものはありえないということを確保しついて教育し訓練し、啓蒙することを確保すること

 

脱施設化について政策と積極的な戦略を開発することそして地域に根ざしたサービスについての予算不足を解決すること、地位における代替サービスの開発すること、これらについては精神障害者の意味ある相談と参加を伴うこと これらに向けた第一歩を始めること

 

脱施設化の政策とともに、今ある法律を廃止し、同意のない医療身体拘束保護室監禁などといった同意のないすべての強制的なやり方も含む、障害に基づいた強制医療と強制入院を禁止することに向けて緊急に踏み出すこと そして独立した監視、精神病院における暴力も含む強制の執行に対する不服申立ての調査と被害者への救済と賠償そして不正を正すことに向け踏み出すこと

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