2016年10月25日 院内集会配布資料 10年間で2倍! 精神科病院で増え続けている隔離・身体拘束について考える

10年間で2倍! 精神科病院で増え続けている隔離・身体拘束について考える
院内集会配布資料を以下からダウンロード
20161025 配布資料 PDFファイル7.82 MB

拷問等禁止条約政府報告書提出に先立っての質問項目

以下が来年5月の政府報告書提出に先立って委員会から、2015年6月15日に出された質問項目です。
これに意見出す機会逃してしまったのですが。身体拘束の増加や強制入院の極端な増加、また起訴前鑑定の増加など、そして精神保健福祉法改悪の動きなどパラレルレポート出さないと。 ただここ非常に保守的で障害者権利条約無視しているところですが、それですら日本の実態は呆れ果てるのは確実。
2013年に拷問等禁止条約委員会には日本から精神障害者団体が初めてロビーイングにということで委員会から熱心に質問を受けました。 いかが先立って出された質問項目のうち精神障害者に関わる所
20 委員会の非自発的入院に関する先の総括所見パラ22にてらして、自由権規約委員会の総括所見のパラ17についての情報を提供されたい。
a)非自発的な処遇と拘禁について、効果的な司法コントロールの確立と同時に効果的な不服申し立てメカニズム確立するためにとられた方策。精神科および社会的ケアの施設を含むすべての自由剥奪の場に適用しうる法的セーフガードについて説明されたい。
b)患者の傷害をもたらす拘束的な手段が過剰に使われた場合についての捜査およびその結果について
c)日本における精神障害者についての地域でのあるいはオルタナティブサービスについて
(山本眞理仮訳)

 

拷問等禁止条約委員会 日本の第二回定期報告に対する最終見解
日本の第二回定期報告に対する最終見解 第55回会期(2013年5月6日から31日)委員会により採択

精神保健ケア
22 精神保健施設に対して運用上の制限を確立している精神保健福祉法にもかかわらず、また締約国代表の提供した追加情報にもかかわらず、委員会は非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間精神保健ケア施設に非自発的に留められていることに懸念を持たざるをえない。非人道的で品位を汚す程度におよびうる行為である、独居拘禁、身体拘束そして強制医療が頻繁に行われていることを、委員会はさらに懸念する。精神保健ケアに関する計画についての対話の間に得られて情報を考慮しても、委員会は精神障害者の入院に対するオルタナティブに焦点を当てたものに欠けていることに懸念を持たざるをえない。最後に、拘束的な方法が過剰に使用されていることへの効果的で公平な調査がしばしば欠けていること、同様に関連する統計的データが欠けていることに懸念を表明する(2,11,13,16条) 委員会は締約国に対して以下を確保するよう要請する
(a) 非自発的治療と収容に対して効果的な法的なコントロールを確立すること、同様に効果な不服申立ての機構を確立すること
(b) 外来と地域でのサービスを開発し収容されている患者数を減らすこと
(c) 精神医療および社会的ケア施設を含む自由の剥奪が行われるすべての場において、効果的な法的なセーフガードが守られること
(d) 効果的な不服申立ての機関へのアクセスを強化すること
(e) 身体拘束と独居拘禁が避けられ、あるいはコントロールのためのすべての代替手段がつきた時に、最後の手段として可能な限り最小限の期間、厳しい医療的監督下でいかなるこうした行為も適切に記録された上で、適用されること
(f) こうした拘束的な方法が過剰に使用され患者を傷つける結果をもたらした場合には、効果的で公平な調査が行われること
(g) 被害者に対して救済と賠償が提供されること
(h) 独立した監視機関がすべての精神医療施設に対して定期的訪問を行うことを確保すること
(精神保健の部分のみ山本眞理仮訳)

 

第6回日本定期報告に関する総括所見

1. 委員会は日本が提出した第6回定期報告(CCPR/C/JPN/6)を2014年7月15日及び16日に開催された第3080回(CCPR/C/SR.3080)及び第3081回会合(CCPR/C/SR.3081)において審査し、2014年7月23日に開催された第3091回及び第3092回会合(CCPR/C/SR.3091、CCPR/C/SR.3092)において以下の総括所見を採択した。
非自発的入院
17. 委員会は、非常に多くの精神障害者が極めて広汎な要件で、そして自らの権利侵害に異議申し立てする有効な救済手段へのアクセスなしに非自発的入院を強いられていること、また代替サービスの欠如により入院が不要に長期化していると報告されていることを懸念する。(7条、及び9条) 締約国は以下の行動をとるべきである。
(a) 精神障害者に対して地域に基盤のあるまたは代替のサービスを増やすこと。
(b) 強制入院が、最後の手段としてのみ必要最小限の期間、本人の受ける害から本人を守りあるいは他害を避けることを目的として必要で均衡が取れる時にのみ行われることを確保すること。
(c) 精神科の施設に対して、虐待を有効に捜査、処罰し、被害者またはその家族に賠償を提供することを目的とする、有効で独立した監視及び報告体制を確保すること

08年7月28日 国連第63回総会への拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する、人権理事会特別報告官(Prof. Manfred Nowak)の報告

英語全文はこちらからワードファイルをダウンロード

以下は一部3章のみの訳しかも注は省いてあります。

拷問等禁止条約についてはこちら外務省のサイトに掲載中

拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する中間報告

要約
国連総会決議62/148に従って提出する当報告書において、特別報告官は彼の権限内にある疑問点についてのとりわけ全体的は傾向と発展において特に懸念される事柄について述べている。
特別報告官は総会に対して、障害者の状況について注意を喚起しており、障害者が放置、拘束や隔離という厳しい状態、また同様に、身体的、精神的、性的暴力に頻繁にさらされていることに注意を喚起する。彼は公的施設のみならず民間領域でも同様にこうした行為が行われているにもかかわらず、こうした行為が表面化せず、また拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰と認識されていないことに懸念を表明する。最近発効した障害者権利条約とその選択議定書は障害者に関して反拷問という枠組みから再点検する絶好の機会を提供している。障害者に対してふるわれている暴力と虐待を拷問あるいは残虐な取り扱いとして再考することにより、被害者そしてその権利を擁護するものはより強い法的保護と人権侵害への補償を獲得することができる。
4章において、特別報告官は独居房への隔離拘禁の使用を検証している。独居拘禁は明白に、精神的健康への否定的な影響があるものとして記録されている。そしてそれゆえ、独居拘禁は例外的な条件においてのみあるいは犯罪調査の目的で絶対的に必要とされる場合にのみ行われるべきであるとしている。特別報告官は報告の付属文書として、非拘禁者の権利尊重と保護を促進する有益な手段として独居拘禁の利用と効果におけるイスタンブール宣言に注意を喚起している。

中略

三章 障害者の拷問からの保護
37 その権限行使において、特別報告官は障害者に対して行われている多様な形態の暴力と虐待についての情報を得てきた。これら障害者には男性、女性、子供が含まれるが、彼らの障害ゆえにこの人たちは放置と虐待の対象とされている。

38 障害者は施設に入れられ社会から隔離されていることが多い。こうした施設には刑務所、福祉的ケアセンター、児童施設そして精神保健施設が含まれる。障害者は意思に反しあるいは自由なインフォームドコンセントもなしに、長期間自由を奪われている。これは時には一生にわたる場合もある。これらの施設内部では、障害者は、頻繁に言語に絶する屈辱的な処遇、放置、身体拘束と隔離拘禁といった厳しい処遇、同様に身体的、精神的、性的暴力にさらされている。拘禁施設における合理的配慮の欠如は放置、暴力、虐待、拷問そして残虐な処遇にさらされる危険を増加しているといえよう。

39 民間領域において、障害者はとりわけ暴力と性的虐待も含む虐待にさらされやすい弱者である。家庭内、家族の手によってあるいは介護するもの、保健従事者、そして地域社会の成員の手によって虐待が行われている。

40 医学実験や侵襲的で非可逆的な医療が同意なしに障害者に対して行われている(例えば、不妊手術、中絶そして、電気ショックや抗精神病薬を含む精神を変容させる薬といった障害を矯正したり軽減したりすることを目的とした介入)

41 特別報告官は、多くの事例において、こうした行為が障害者に対して行われる場合において、表面化しなかったり、あるいは正当化されたりしており、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰と認識されていないことに懸念を表明する。最近発効した障害者権利条約とその選択議定書は障害者に関連する事柄について拷問禁止の枠組みから検証する絶好の機会を提供している。

A 拷問から被害者を保護する法的な枠組み
42拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は罰禁止条約、および、国連自由権規約7条、子供の権利条約37条、において拷問の絶対的禁止が含まれており、障害者権利条約においても拷問の禁止が15条において再確認されている。障害者権利条約15条によれば、障害者は拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を受けない権利を有しており、特に科学的医学的実験を受けない権利を有している。15条第2項において締約国は、他のものと平等に拷問や虐待から障害者を保護するために、効果的な立法上、行政上、司法上その他の措置をとる義務がある

43 障害者権利条約16条は障害者に対しての暴力、虐待搾取を禁じており、また17条はすべての障害者に対して、身体的精神的インテグリティ(不可侵性完全性)が尊重される権利を認めている。

44 特別報告官は障害者に関しては、障害者権利条約は更に権威あるガイドを提供することにより、拷問および虐待の禁止についてのほかの人権条約を補強していることを明記する。たとえば、条約3条は障害者の個人としての自律の尊重の原則そして自らの選択の自由を宣言している。さらに12条はあらゆる生活領域、例えばどこにすむか決めること医療を受けるか否かを決めることなどが含まれるが、において法的能力を享受する平等な権利を認めている。さらに付け加えて、25条においては障害者の医療は自由なインフォームドコンセントを基盤としなければならないとしている。したがってかつての拘束力のない基準、例えば国連原則として知られている、1991年の精神疾患者の保護および精神保健ケアの改善に関する原則(決議46/119)について、特別報告官は非自発的治療と非自発的拘禁を受け入れることは障害者権利条約の条項に違反と明記する。

B 障害者に対して、適用する拷問と虐待からの保護の枠組み
45 国際法において、とりわけ拷問禁止条約の下では国家は拷問を犯罪行為とする義務がある。すなわち加害者を起訴し、犯罪の重大さに応じた適切な刑罰を科し、そして被害者に賠償提供する義務がある。障害者に振るわれている暴力と虐待を拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰として認識し位置づけなおすことにより、被害者およびその権利擁護者は人権侵害に対するより強い法的保護と補償や回復を獲得しうる。

1 拷問の定義の要素
46 拷問と虐待からの保護に関する障害者権利条約15条の適用については拷問禁止条約の1条に含まれる拷問の定義によって説明することができる。障害者に対する行為あるいは障害者を尊重しないという怠慢が拷問となるには、拷問禁止条約の拷問の定義の4つの要素すなわち、激しい痛みや苦痛、意図、目的そして国家の関与、が存在することが必要である。この定義を満たさない行為であっても、拷問禁止条約16条のもとで、残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰となることもある

47その本質上、苦痛や痛みの度合いの評価に当たっては、そのケースについてのすべての条件が検討されることが求められる。その条件には障害の存在そのものと同様に、被害者の処遇や拘禁条件の結果、損傷が生じあるいは悪化したかについても注目する必要がある。医学的治療として完璧に正当化されうるものであろうと、医療は重大な痛みや苦痛をもたらし、侵襲的で非可逆的な本質があるがゆえに、治療的目的に欠けるときあるいは障害を矯正するまたは軽減する目的を持つときで、当事者の自由なインフォームドコンセントなしに強制され行われるならば、拷問そして虐待を構成することとなろう。

48 拷問禁止条約における拷問の定義は、いかなるものであろうと差別を根拠とした身体的精神的苦痛をもたらす行為を明白に禁止している。障害者の場合、特別報告官は障害者権利条約第2条が障害を根拠とした差別について以下述べていることを想起する。「障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、他の者との平等を基礎として すべての人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、合理的配慮を行わないことを含むあらゆる形態の差別を含む。」

49 さらに拷問禁止条約の第1条の意図という要件は障害に基づいて差別されてきた人については有効に適用されうる。このことはとりわけ、障害者に対する医療の文脈において、重大な侵害と差別が障害者に対して、保健専門職の一部においては「よき意図」というごまかしにおいてなされうるということについては重要な関連がある。単なる過失や怠慢は1条の求める要件である意図にかける、しかし、重大な痛みや苦痛をもたらすものであるなら、そうした過失や怠慢も虐待を構成しうる。

50 拷問すなわち、個人のインテグリティ(不可侵性統一性)と尊厳へのもっとも重大な人権侵害は、他の者による全的な支配の下に被害者が置かれるが故の、無力さを前提としている。障害者がそうした状況におかれることはよくあることだ。例えば、監獄あるいは他の場で自由を奪われているときあるいは介助者や法的後見人の支配下におかれているとき。一定の状況下では個人の特定の障害が、その個人を依存的な状況下に置くことがありがちで、そしてそうした個人は容易に虐待の対象となりがちである。しかし「無力さ」はしばしば個人の外側にある環境がもたらすものである。意思決定の行使そして法的能力を差別的な法律や運用によって奪われ他の人にその権限を与えられるというときに「無力さ」が生じるのだ

2 誰に責任があるか?
51 政府の関与という要件に関して、特別報告官は、拷問の禁止は公務員に限ることなく、厳密な意味で法的な権限を持った機関のようなものに限らず、民間病院、あるいは他の施設や拘禁施設で働く場合も含めて、医師や保健従事者、ソーシャルワーカーにも適用されることもあると明記する。拷問禁止条約委員会の一般見解のNo.2(2008)で強調されているのは、あらゆる種類の施設で拷問の禁止がなされなければならないということであり、締約国は国家機関によらないあるいは民間機関における拷問の禁止については徹底して予防し、調査し、起訴処罰すべきであるとしている。

3 何に責任があるのか?
(a)貧しい拘禁条件
52 数え切れないほどくりかえし、拷問禁止条約委員会は精神保健施設や障害者用の家の貧しい生活条件について、拷問等禁止条約16条の下の虐待という視点から、懸念を表明してきた。施設の貧しい条件は、適切な食事、水、医療的ケア、衣服を拘禁下ある人に提供すべき義務を国家が果たしていない結果である場合が多い。そしてこうした貧しい条件は拷問と虐待を構成しうるのだ。

53 国家は障害者に対して直接的間接的な差別がなされないよう、拘禁下の処遇あるいは環境条件を整えることを確保するさらなる義務がある。もしこうした差別的処遇が痛みや苦痛をもたらすのであれば、それは拷問あるいは他の虐待を構成しうる。ハミルトン対ジャマイカのケースにおいて、人権委員会は、申立人の障害を考慮し、適切な配慮をして、独房に拘禁し、彼の汚水バケツを取り上げることを認めたことが、国連自由権規約の7条と10条に違反するか否かを審査した。委員会は両足の麻痺した申立人は、条約10条の第1項に違反して、人道的にかつ人間としての固有の尊厳への尊重を持って処遇されていないと判断した。プライス対英国の場合、ヨーロッパ人権裁判所は、身体障害のある女性の拘禁条件について、利用不可能のトイレとベッドも含め、ヨーロッパ人権条約3条の品位を傷つける処遇となるとした。

54 特別報告官は障害者権利条約14条第2項は以下の締約国の義務を定めていると明記する。それは自由を奪われた人は合理的配慮を提供される権利があるということを確保するという義務である。このことは手続きにおいてまた、拘禁施設、これらはケアのための施設や病院も含むが、において障害者が他のものと同じ権利と自由を享受することを確保するために、その調整が過大な負担をもたらさない限り、適切な調整を行う義務があるということだ。障害者に対する合理的配慮の否定や欠如は虐待や拷問とみなされるほどの拘禁や生活条件を生み出しうる。

(b)身体拘束と隔離の使用
55 施設の貧しい条件はしばしば身体拘束と隔離という厳しい形態を伴っている。障害のある子供たちや成人は長期にわたりベッドや、檻あるいはいすに縛られたりすることがある。鎖や手錠をはめられることもある。”檻”や”檻つきのベッド”に拘禁されることもある。また大量の薬を与えられることも化学的身体拘束といえよう。”長期にわたる身体拘束は筋肉の萎縮、生命にかかわる変形、そして内蔵の損傷を生み出しうるということ”、そして精神的な損傷を悪化させることを明記しておくことは重要である。特別報告官は拷問や虐待を構成しうる長期にわたる身体拘束について、治療的正当化はありえないと明記する。

56 治療的理由からは正当化できず、処罰の一形態であるにもかかわらず、施設において障害者は管理の一形態としてあるいは医療的治療としてしばしば隔離され独房に拘禁される。2003年12月米州人権委員会はパラグアイの国営神経精神病院に拘禁されている460人を保護するために予防的対策を承認した。この460人の中には独房に裸で非衛生的な条件で4年間以上も独居拘禁されていた二人の十代の少年も含まれていた。Victor Rosario Congo対エクアドルの場合、米州人権条約委員会は社会復帰センターにおいて精神障害のあるCongo氏が独房に拘禁されていることは米州人権条約第5条2項に定められた非人道的で品位を傷つける処遇を構成すると認めた。特別報告官は人に対する長期の独居拘禁と隔離は拷問あるいは虐待を構成する場合があることを明記する。

(c)医療の領域
57 医療の領域において、障害者はしばしば重大な虐待と身体的精神的インテグリティの権利の侵害を体験している。とりわけ実験においてあるいは特定の損傷の矯正あるいは軽減を目指した治療において。

(ⅰ)医学的科学的実験
58 障害者権利条約15条の下では、薬物の治験含め障害者に対する医学的科学的実験は当事者の自由な同意のあるときのみ、そして実験の本質が拷問または残虐で非人道的品位を傷つける処遇とみなされえないときにのみ許される。

(ⅱ)医療的介入
59 ロボトミーと精神外科手術の実施は実例として役立ちうる。侵襲的で非可逆的な治療であればあるほど、自由なインフォームドコンセントを根拠としてのみ保健専門職が治療を障害者に提供することを確保するより強い義務が国家にはある。子供の場合にはもしそうした介入が治療的目的にのみ行われるのであれば、保健専門職がそうした介入が子供の最善の利益において、そして両親の自由なインフォームドコンセントに基づき行われることを国家は確保しなければならない。(しかしながら両親の同意は治療が子供の最善の利益に基づかない場合は無視されなければならない)。さもなければこうした治療は拷問あるいは残虐で、非人道的もしくは品位を傷つける処遇となりうると特別報告官は明記する。

a 妊娠中絶と不妊手術
60 無数の障害のある成人と子供が政策の結果としてまたそうした目的を持って制定された法律によって強制的に不妊手術を行われてきた。障害者とりわけ女性と少女が施設の中と外とを問わず、自由なインフォームドコンセントなしに中絶や不妊手術を強制され続けている。この行為の関しては報告されている。特別報告官は障害者権利条約23条C項の下で「障害者(障害のある子どもを含む。)が他の者との平等を基礎として生殖能力を保持する」ことを確保し、また自由と責任をもって、子供の数と出産の期間を決める権利を確保することが締約国の義務であることを明記する。

b 電気痙攣療法
61 囚人に対する電気ショックの使用は拷問および虐待を構成すると認められてきた。発作を引き起こす電気ショックあるいは電気痙攣療法の使用は精神あるいは知的障害をもつ人への治療法として、1930年代にはじまった。ヨーロッパ拷問禁止委員会は非修正電気痙攣療法(例えば麻酔、筋弛緩剤あるいは酸素補給なしのもの)が精神保健施設において障害の治療のために人に行われていることさらには処罰の形態としてさえ行われていることを報告している。特別報告官は、非修正電気痙攣療法は、重大な痛みや苦痛そしてしばしば重大な医療的結果例えば骨折、じん帯の損傷や脊髄損傷、また認知障害や記憶喪失の可能性などをもたらすことがあることを明記する。非修正電気痙攣療法は医療行為として許容されることはできず、また拷問あるいは虐待を構成しうる。修正電気ショックの形態であれ、当事者の自由なインフォームドコンセントにもとづいてのみ行われることはきわめて重要である。この自由なインフォームドコンセントには、副作用や心臓への影響や混乱、記憶喪失さらには死亡といったリスクの説明を受けること含まれる。

c 強制的精神医学的介入
62 拷問や虐待の手段としての政治的弾圧を目的とした、例えばテロリズムとの戦いという文脈での精神医学の使用、より少ないとはいえ、個人の性的指向を弾圧し、支配し変更しようとする試みを目的として行われる治療については詳しく報告されてきた。しかし、特別報告官は精神医学の乱用と障害者への強制、主として精神的知的障害をもつ人への強制についてより重大な注意を喚起する。

63 施設内そして地域での強制医療も同様であるが、精神医療、抗精神病薬と精神を変容させる薬も含む投薬が精神障害者の自由なインフォードコンセントなしにあるいは意思に反して強制的にあるいは処罰の一形態として行われることがある。拘禁施設と精神保健施設における薬の投与、それは抗精神病薬も含まれえるが、この抗精神病薬はふるえをもたらしたり、無気力な状態にさせたり、知性を曇らせたりするものであり、こうした薬の投与は拷問の一形態として認識されてきた。Viana Acosta 対ウルグアイのケースでは、人権委員会は、申立人の処遇、治療は非人道的処遇を構成すると結論を出した。この治療処遇には、精神医学的実験、彼の意思に反したトランキライザーの強制的注射などがふくまれていた。特別報告官は精神状態の治療のための、強制的そして同意のない、精神科の薬の投与とりわけ抗精神病薬の投与は詳細に検証される必要があることを明記する。個別のケースの情況、与えられる苦痛そして個人の健康への効果、これらの検証しだいでは、拷問あるいは虐待の一形態となることもありうる。

d 非自発的精神保健施設への収容
64 多くの国家が、法的根拠のあるなしにかかわらず、精神障害者を自由なインフォームドコンセントなしに施設収容することを許容している。その根拠は精神障害の診断の存在と共に追加の基準が使われることがよくある、それは例えば「自らあるいは他者に対する危険性」あるいは「治療の必要性」というものである。特別報告官は障害者権利条約の14条が法によらない恣意的な自由の剥奪の禁止と障害の存在が自由の剥奪の正当化とされてはならないとしていることを想起する。

65 特定の事例においては恣意的あるいは法によらない障害の存在を根拠とした自由の剥奪はまた個人へ重大な痛みや苦痛をもたらす場合もあり、したがって拷問禁止条約の対象となる。自由剥奪による苦痛の影響を検証するには、施設収容の期間、また拘禁や処遇条件が考慮されなければならない。

(d)性的暴力も含む障害者に対する暴力
66 施設内において、他の患者や被収容者また同様に施設職員によって障害者は暴力にさらされることがある。Ximenes Lopes 対ブラジルのケースでは米州人権裁判所は、精神科病院へ収容された患者に対する暴力という文脈において、被害者に行われた日常的な殴打や身体拘束そして貧しい拘禁条件,(たとえば貧しい保健ケア、低い衛生状態や不足がちな食事)は、米州人権条約5条の1項と2項の下での拷問と虐待の禁止と身体的精神的インテグリティの権利の侵害であるとした。

67 もし、病院、ケア施設あるいは同様の施設において働く公務員も含む、公務員によって、あるいは公務員の示唆にまたは同意あるいは黙認の下で行われたのであれば、拘禁下での強姦は拷問を構成することを特別報告官は繰り返し発言する。

68 民間領域において、家族の手によってまた障害者の介護者によっての双方によって、障害者は男女にかかわらずほぼ3倍も身体的性的虐待と強姦の被害者となっている。女性や少女はジェンダーと障害の二重の差別の結果として、親しいパートナーによる暴力も含め高い比率の暴力を経験している。Z対英国とA対英国のケースにおいてヨーロッパ人権裁判所は個人とりわけ子供と他の弱者を虐待から保護する政策を採る義務が締約国にあることを認めた。同様に当局は虐待を防止する合理的な段階を取るための知識を持つあるいは持つべき義務を認めた。

69 障害者権利条約16条が宣言しているように、締約国は家庭の内外、そしてジェンダーにもとづくものも含み、あらゆる形態の暴力、虐待および搾取から障害者を保護しそれらを予防するため、またこれらの責任について調査し訴追するすべての適切な政策をとる義務がある。特別報告官は、締約国の障害者への暴力に関する黙認は多くの形態がありうることを明記する。それは、法的能力を奪う法律という差別的な法の枠組みや運用あるいはこれらの暴力が刑罰を逃れるという結果をもたらす障害者に対する司法への平等なアクセス保障の失敗もふくまれる。

C 結論と勧告
70 特別報告官は障害者権利条約の発効にあたって以下を歓迎する。障害者権利条約は拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰の絶対的な禁止を再確認していることそして、障害者の基本的な権利と自由へ解釈についての権威あるガイドを示していること。障害者に対して行われた侮辱、放置、暴力そして虐待の一連の報告に対して、これらの行為がどう認識されるか、例えば拷問や虐待と認識されることそして、国際的拷問禁止の枠組みが活用されることは、法的保護と補償への道を切り開くであろう。

71 特別報告官はとりわけ2条の非差別条項に注目した上で、障害者権利条約の批准と、完全履行を各国政府に呼びかける。

72 条約締約国は条約が公刊され広められ、そして市民にあまねく啓発啓蒙がなされ関連するさまざま専門職グループ(例えば、裁判官、弁護士、法執行公務員、公務員、地方自治体公務員、施設職員そして保健専門職など)すべてに広く訓練されることを確保しなければならない。公務員と民間機関の職員は同様に障害者を拷問と虐待から保護しそれらを防止する役割を持つ。

73 条約を守るために締約国は、障害者に法的能力があることを認める法律を制定しなければならない。また必要であるならば、説明を受けた上で決定するために必要な支援を提供することを確保しなければならない。

74 締約国は、「自由なインフォームドコンセント」が何を意味するかについての明白であいまいでないガイドラインを条約の求める基準で公布しなければならない。また使いやすくアクセスしやすい不服申し立ての手続きも作らなければならない。

75 独立した人権監視機関(例えば国内人権機関、拷問禁止機構、市民団体など)は障害者が住んでいる施設、例えば監獄、福祉ケア施設、児童養護施設そして精神保健施設などを定期的に監視しなければならない。

76 特別報告官は関連する国連および地域の人権機構に対して、個人の不服申し立ても含み、拘禁施設の監視を行うさいに、障害者権利条約に含まれる新たな基準に完全に配慮した上で、これらの監視調査に新たな基準を統合することを呼びかける。

後略

拷問等禁止条約特別報告官レポート

拷問等禁止条約特別報告官メンデス氏が2013年2月1日国連理事会に提出したレポート、一部邦訳です。このレポートのテーマは保健分野における拷問と虐待。

一部赤字のところは前特別報告官のノワク氏の中間レポートより後退しており、また障害者権利条約の基準を見たいしていない部分がありますが、医療保険の分野を拷問等禁止条約の視点から検証し、精神医療における強制医療や身体拘束、隔離の禁止を求めている画期的なものです。なお対象は緩和ケア、薬物依存、性的マイノリティ、不妊手術中絶の権利、セックスワーカー、など広範囲にわたっています

一部邦訳は山本眞理によるものであり、誤訳等多々あると思いますので、ご指摘ご教授などいただければ幸いです なお注は省いてあります

拷問等禁止条約特別報告官レポート抄訳2013年2月1日

英語原文

同じく拷問等禁止条約特別報告官の2013年3月4日 国連人権理事会でのスピーチ英文未定稿

前特別報告官ノワク氏の中間レポート一部抄訳

 

拷問等禁止条約委員会 日本の第二回定期報告に対する最終見解

拷問等禁止条約委員会
日本の第二回定期報告に対する最終見解
第55回会期(2013年5月6日から31日)委員会により採択

精神保健ケア
22 精神保健施設に対して運用上の制限を確立している精神保健福祉法にもかかわらず、また締約国代表の提供した追加情報にもかかわらず、委員会は非常に多数の精神障害者と知的障害者が非常に長期間精神保健ケア施設に非自発的に留められていることに懸念を持たざるをえない。非人道的で品位を汚す程度におよびうる行為である、独居拘禁、身体拘束そして強制医療が頻繁に行われていることを、委員会はさらに懸念する。精神保健ケアに関する計画についての対話の間に得られて情報を考慮しても、委員会は精神障害者の入院に対するオルタナティブに焦点を当てたものに欠けていることに懸念を持たざるをえない。最後に、拘束的な方法が過剰に使用されていることへの効果的で公平な調査がしばしば欠けていること、同様に関連する統計的データが欠けていることに懸念を表明する(2,11,13,16条)
委員会は締約国に対して以下を確保するよう要請する
(a)      非自発的治療と収容に対して効果的な法的なコントロールを確立すること、同様に効果な不服申立ての機構を確立すること
(b)    外来と地域でのサービスを開発し収容されている患者数を減らすこと
(c) 精神医療および社会的ケア施設を含む自由の剥奪が行われるすべての場において、効果的な法的なセーフガードが守られること
(d)     効果的な不服申立ての機関へのアクセスを強化すること
(e) 身体拘束と独居拘禁が避けられ、あるいはコントロールのためのすべての代替手段がつきた時に、最後の手段として可能な限り最小限の期間、厳しい医療的監督下でいかなるこうした行為も適切に記録された上で、適用されること
(f) こうした拘束的な方法が過剰に使用され患者を傷つける結果をもたらした場合には、効果的で公平な調査が行われること
(g)     被害者に対して救済と賠償が提供されること
(h)    独立した監視機関がすべての精神医療施設に対して定期的訪問を行うことを確保すること
原文は以下 (精神保健の部分のみ山本眞理仮訳)

http://www2.ohchr.org/english/bodies/cat/cats50.htm

 

(訳注)

拷問等禁止条約より抜粋

第二条

1.締約国は、自国の管轄の下にある領域内において拷問に当たる行為が行われることを防止するため、立法上、行政上、司法上その他の効果的な措置をとる。

2.戦争状態、戦争の脅威、内政の不安定又は他の公の緊急事態であるかどうかにかかわらず、いかなる例外的な事態も拷問を正当化する根拠として援用することはできない。

3.上司又は公の機関による命令は、拷問を正当化する根拠として援用することはできない。

第十一条

締約国は、拷問が発生することを無くすため、尋問に係る規則、指示、方法及び慣行並びに自国の管轄の下にある領域内で逮捕され、抑留され又は拘禁される者の身体の拘束及び取扱いに係る措置についての体系的な検討を維持する。

 

第十三条

締約国は、自国の管轄の下にある領域内で拷問を受けたと主張する者が自国の権限のある当局に申立てを行い迅速かつ公平な検討を求める権利を有することを確保する。申立てを行った者及び証人をその申立て又は証拠の提供の結果生ずるあらゆる不当な取扱い又は脅迫から保護することを確保するための措置がとられるものとする

 

第十六条

1.締約国は、自国の管轄の下にある領域内において、第一条に定める拷問には至らない他の行為であって、残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に当たり、かつ、公務員その他の公的資格で行動する者により又はその扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行われるものを防止することを約束する。特に、第十条から第十三条までに規定する義務については、これらの規定中「拷問」を「他の形態の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰」と読み替えた上で適用する。

2.この条約は、残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰を禁止し又は犯罪人引渡し若しくは追放に関連する他の国際文書又は国内法令に影響を及ぼすものではない。

 

 

山本コメント 拷問にも至る場合もあるといって欲しかったし、最終手段という言い方、法的コントロールやセーフガードというのは気に入らないのですが、これが限界なのかなあ 懸念という言葉普通は「ちょっと心配」程度のニュアンスですが、外交用語では「怒っている」という意味だそうです。山崎公士さんに教わりました

次のページ →