成年後見制度の医療同意への業務拡大について慎重審議を求めます

現在、内閣府の成年後見制度利用促進会議・成年後見制度利用促進委員会では、成年後見人等による医療同意の業務拡大についての検討が進められています。現行法において成年後見人等の決定は、本人の決定と法的に同じ効力を有することになります。よって、成年後見人等の活動は、何か問題が起きた場合に本人からの訴えを退ける要素を多分にもっており、ブラックボックス化しやすいといった問題があります。成年後見人等による財産の使い込み事件が多発した背景には、こうした法律の構造に起因する部分が大きいです。この問題は、今以上に監視機能を追加したところで解消されるものではありません。医療は、患者の生命を左右するものであり、ときに取り返しのつかない状況を帰結します。そのため
成年後見制度の改正による医療同意の業務拡大には慎重を要するものと考えます。よって拙速な結論は避けられなければなりません。

2016年12月15日

全国「精神病」者集団

 

 

医療同意を何とか阻止するためにあの醜悪な政府への文章を出したというのが運営委員会の見解ですが
それならなぜ「慎重審議」などということをおっしゃるのか、そしてそもそもどこでこれから審議されようとしているのか、いずれにしろ警告として何らかの意思表示を全国「精神病」者集団として出すことに異論はないけれど、後見人にによる医療同意はあってはならないとすべきではないかしら(山本)

醜悪な文書とは以下

2016年9月 全国「精神病」者集団ニュース抜粋

全国「精神病」者集団運営委員会の解散を求める

山本 眞理
これほど醜悪かつ不正確な文書がこっそりと出されていた。
全国「精神病」者集団運営委員数名の確認のもとに
私は3ヶ月近く経った9月3日夜に初めて見た。そもそも被後見人とされている人の大半が精神障害者であるって一体。認知症も確かに精神障害ではあるけれど、全国「精神病」者集団が組織しているわけでもない。すでに認知症当事者の組織は存在する。そもそも反対していた法律の施行に協力を申し出るとは。

知的障害者はどうでもいいのか、筋ジスやALSの方まで拡大されている実態あるというのに全国「精神病」者集団は今まで精神障害者の参加をと主張したことはあるが全国「精神病」者集団を売り込んだことなど一度もない。行政に認知されているってそんなに嬉しいのか。おぞましいほどの文書であり姿勢。
ここまで全国「精神病」者集団を汚し踏みにじる運営委員会の解散を求める
以下そのまま貼り付け

内閣府成年後見制度利用促進委員会事務局 御中
内閣府成年後見制度利用促進担当室 御中

成年後見制度利用促進会議に関する要望書

日頃より障害者施策の推進に尽力をくださり、心より敬意を表します。
私たち全国「精神病」者集団は、1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成される全国組織です。成年後見制度の当事者は、被後見人等であり、精神上の障害がある私たち精神障害者が大部分を占めます。当事者とは特定の問題の効果の帰属主体のことであり、成年後見制度によって行為能力を制限される問題の当事者は、主として精神障害者です。加えて、精神障害者としての主張をできる――精神障害者という集合アイデンティティを一人称として発言できる――のは、第一に精神障害者の団体であるはずです。
2016年4月、成年後見制度の利用の促進に関する法律(以下、成年後見利用促進法)が成立し、内閣府に成年後見制度利用促進会議が設置されることとなりました。貴省におかれましては、当事者である精神障害者の意見を聴く必要性を十分に認識していただきたく思っております。障害者権利条約前文(o)及び障害者権利条約第4条第3項では、障害者を代表する団体から推薦を受けた障害当事者が合議体・審議会等に構成員として参画することを締約国に求めています。全国「精神病」者集団は、日本障害フォーラムの加盟組織であることや厚生労働省のヒアリング対象団体として行政府に認知されていることからも成年後見制度利用促進会議の構成員として適格であると考えております。
つきましては、成年後見制度利用促進会議の構成員に全国「精神病」者集団から推薦を受けた精神障害当事者の委員を採用してくださいますよう、お願い申し上げます。
草 々
2016年6月9日
全国「精神病」者集団

声明 私たちは民法改正による意思無能力法理の明文化に反対します

 

私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成した精神障害者の個人及び団体で構成する全国組織です。私たち精神障害者は、たびたび疾病などの機能障害を根拠として社会から判断能力がないと見なされ、自分で自分のことを決めることが許されず、他の権限を有する人(医師や家族、成年後見人等)による代理決定を強いられてきました。このことは、私たちにとって非常に屈辱的な経験であったため、国際レベルの運動を展開して改善を訴えました。その結果、障害者権利条約が国連において採択され、機能障害を理由として自分で自分のことを決める権利を侵害することが人権侵害であることが確認されました。

さて、法務省は法制審議会民法(債権関連)部会において民法改正に向けた議論を始め、2015年2月10日には、「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」が公表されました。当該要綱案には、「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする」として意思能力を明文化することが提言されています。明文化の根拠として「高齢化社会の進展に伴い、判断能力が減退した高齢者をめぐる財産取引上のトラブルが増加し成年後見制度等によって一定の対応を図ることができるが、判断能力の低下した高齢者のすべてにこれらの制度の利用を求めるのは非現実的である。そのため、判断能力が低下した高齢者をめぐる財産取引上のトラブルに対応するための規律として、意思能力に関する規律の重要性が高まっている。そこで、これを明文で規定するのが相当である」とされています(註1

成年後見制度の立法事実には意思無能力による法律行為の無効が取引社会の安全を脅かすことが第一義的にあげられています。それ以外の事理弁識能力のない人の財産保護といった立法趣旨は、本来なら民法の意思能力に帰属するものです。すると意思無能力を明文化することは、取引社会の安全という成年後見制度の立法事実を明示的に採用することを意味し、成年後見制度の利用拡大・促進へと政策を方向づけることになります。成年後見制度の利用促進は、国連障害者権利委員会(註2や障害当事者団体(註3を中心に障害者権利条約第12条の観点から問題であるとされており、また、第190会通常国会において審議された成年後見制度利用促進法案及び家事手続法改正案には、障害者団体や新聞各社から多数の反対意見が上がり、付帯決議の可決に至っています。意思無能力法理の明文化は、既に多くの問題を指摘されている成年後見制度に対して、なんら見直すことなく促進の方向づけを与えるものであり、納得できるものではありません。よって私たち全国「精神病」者集団は、「民法(債権関係)の改正に関する要綱案」の意思無能力法理の明文化に全面的に反対するとともに当該箇所の削除を求めます。

 

註 1 法務省『法案要綱たたき台(7)』法制審部会資料73‐A、2014年1月14日

2 国連障害者権利委員会『一般的意見第1号』2014年3月31日-4月11日、para,11, 12, 13

3 2009年9月、日本障害フォーラムと日本政府の意見交換会

2016年5月10日

 

全国「精神病」者集団

成年後見人制度利用促進法案関連

成年後見制度利用促進法案反対の報告

今国会で上程される見込みの成年後見制度利用促進法案は、①後見人の医療同意が可能になる、②意思決定支援への配慮、③信書等の送付を後見人に直接できるようにする、などの改正が見込まれています。

 

この法案の最大の問題点は、成年後見制度それ自体が悪いということ以外にも、成年後見人等に対して医療同意の代諾をできるようにさせたことだと思います。すなわち、成年後見人が医療同意を代諾した場合は、完全に強制医療ということになります。これまで精神保健福祉法は、強制入院を規定していましたが、強制医療(侵襲行為それ自体を同意なくする手続き)までは規定しているとは言えませんでした。たとえば、無理やり投薬させるとか、無理やり電気ショックをするという手続き自体を定めてはいなかったということです。しかし、成年後見人等が代諾した場合は、精神障害者本人が医療同意したことと同じ扱いになるわけですから、いかなる治療介入を可能としていきます。たとえば、成年後見人等の代諾による強制電気ショックなどが可能になります。もちろん、これまでも半ば強引に、強制医療というべき投薬治療や電気ショックが運用でされてきたわけですが、現在では、これに対して少なくとも裁判において不法行為を主張する余地があるわけです。しかし、成年後見制度利用促進法案は、法律によって精神障害者本人が同意したことと同じ扱いになるため、不法行為であるとして訴訟する余地がありません。いな、そもそも成年被後見人は、裁判だって自由にできるわけではありませんし、なにかと法律によって行為を制限されています。

さらに、怖れるべきは、成年後見人による医療提供拒否の代理決定による尊厳死を開く点に問題があると考えられます(法案が公開されていないので詳しくは分かりません)。従来の尊厳死は、尊厳のある死の自己決定(実際には本人の決定を根拠とした殺人です)なる優生思想に満ちた提案あったわけですが、今回の場合は、尊厳のある死の代理意思決定という、より危ない考え方であるといえます。どういうわけか、2016年2月25日、久方ぶりに「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」が開催されており、意思決定の話しも出されました。厚生労働省が示した「意思決定支援の概要」も医療同意のことが非常に大きなウェートを占めています。明らかに、意思決定支援をして本人の尊厳のある死を選択する意思を十分に確認した、よって成年後見人が尊厳死の代理意思決定をする、という図式で障害者抹殺が図られていく準備が着々と進んでいることを意味しています。

2015年12月、成年後見制度関連で院内集会が開催されました。このとき参加された民主党の議員が法案の問題を認識した旨の発言をしました。しかし、民主党は、2015年7月の時点ですでに本法案に合意していることが後になってわかりました。

そのため「民主党障害者政策議連」は、修正案提出を目指して、士業団体とのヒアリング実施を方針として1月中旬に確定し、2月上旬に衆議院法制局に対するヒアリングを実施しました。なお、士業団体ヒアリングが実施されたかどうかは、小宮山事務所から聞き出せていません。われわれは、士業団体だけではなく当事者団体にもヒアリングを実施せよとして申し入れ書を提出しました。

今後は、障害者団体として反対しているという対外的なアピールをしていくため、日本障害者協議会やDPI日本会議との連帯を視野に入れて反対運動を形成していきたいと思います。

さらに詳しい報告は次号で致します


 


民主党障がい者政策推進議員連盟

成年後見制度利用促進法案に関するヒアリングの申し入れ

新春の候、ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

このたび与党がまとめている成年後見制度利用促進法案に対しては、士業団体を中心にさまざまな問題が指摘されており、貴政党におかれましても与党案に対して修正案を出す意向があるものとうかがっております。

成年後見制度の当事者のひとつには、精神障害者がいます。貴政党におかれましては、障害者権利条約の趣旨を踏まえて、当事者である精神障害者の意見を聴いていただきたく思っております。

つきましては、成年後見制度利用促進法案に関するヒアリング先の団体に全国「精神病」者集団も加えていただきますよう、お願い申し上げます。  2016年1月22日