運営委員会活動報告
障害者基本法改正作業
2011年4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、基本法改正案)は、障がい者制度改革推進会議での障害者団体の意見のほとんどを無視する形で、閣議決定され、国会に上程された。
《新聞記事を引用》
◆精神医療、障害者基本法改正案に明記されず-制度改革会議の委員、部会の新設求める声も(医療介護CBニュース 4月18日(月)22時41分配信)
内閣府の「障がい者制度改革推進会議」(議長=小川榮一・日本障害フォーラム代表)は4月18日、31回目の会合を開き、上部組織の「障がい者制度改革推進本部」(本部長=菅直人首相)で了承された障害者基本法改正案について、事務局から説明を受けた。改正案は今後、閣議決定を経て今国会に提出される予定だが、説明を受けた委員からは、精神医療に関する条文が盛り込まれなかったことから、部会の新設を求めるなど、多くの不満の声が出た。
推進会議は昨年12月に取りまとめた「障害者制度改革の推進のための第二次意見」で、精神障害者の社会的入院の解消や、隔離拘束するときの公的機関の責任などを改正案に盛り込むよう提言。しかし、これを受けて事務局が作成した改正案には、精神医療への言及はなく、「医療、介護等」の条文が設けられた。3月11日には、推進本部がこれを了承した。
堂本暁子委員(前千葉県知事)は、「やはり精神障害が入らなかったことはとても残念」と述べたほか、東日本大震災での事例として、「津波が来ても、非自発的入院をしていた精神障害者は、自ら逃げるすべがなかった」と改正案に精神医療への言及を盛り込む必要性を訴えた。また、川?洋子委員(全国精神保健福祉会連合会理事長)は、推進会議での精神医療に関する議論が不十分だとして、集中的に検討する部会の新設を要求。これに対して推進会議担当室の東俊裕室長は、部会の立ち上げには多くの準備が必要なため、「部会よりも推進会議で議論すべき」と答えた。さらに、関係者へのヒアリング実施も含めて検討する考えを示した。
これに伴い、基本法改正案国会成立を阻止する方向性で活動するか、ひとまず、推進体制が新設されたことを評価し、軽微な修正等を求めて国会通過をさせて一歩前進とするかで議論があったが、最終的には、推進体制が新設されたことを一歩前進と評価し、国会通過をさせることが、JDFでの大方の一致点となっているため、全国「精神病」者集団としてJDF内での協調路線を取ることにしつつも、絶対に譲れないこととして、以下の陳情書を各議員に提出した。
国会議員の皆様へ
日ごろからの障害者の人権保障に関するご活動に敬意を表します。
私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者、団体、個人のネットワークであり、また国連社会経済委員会の認定NGOである世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)のメンバーとして障害者権利条約作成に2002年より積極的に参加しており、WNUSPの理事としても会員の山本眞理が参加しております
4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律(案)が閣議決定され国会に上程されました。この法案は、評価できる点もありますが、憲法上の人権を著しく制約する文言がいくつかあります。
私どもは、障害者基本法の改正が、障害者権利条約批准に向けた国内法整備の核であり、憲法に定められた基本的人権、さらに国際的な人権諸条約の保障する基本的人権が障害者にも平等に実質的かつ有効に適用されるための法改正であることが十分認識された上で、国会において十分な、かつ総合的な審議がなされることを求めます。
その意味で同封の陳情書の通り、修正・加筆・付帯決議をしていただきたく思っております。
是非、私ども当事者の意見に耳を傾けていただけること何よりお願いいたします。もし、お時間をいただけるならご説明に参りますので、ご連絡いただければ幸いです
2011年5月17日
国会議員の皆様
全国「精神病」者集団
障害者基本法の一部改正に関する法律(案)の審議に当たっての陳情書
私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私どもの運営委員である関口明彦も障がい者制度改革推進会議構成員として精力的に会議に参加し第一次第二次意見の作成に精神障害者の声を反映させて参りました。
しかしながら、今般内閣府が公にした障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、法)には、いくつかの重大な問題があり、当該部分について下記に列挙したので、国会審議の過程で修正・加筆・決議していただきたく陳情します。
記
1.地域生活
法第三条の二(地域社会における共生等)には、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあるが、「可能な限り」とある以上、地域生活の権利、人身の自由、どこで誰と住むかという日本国憲法二十二条に示された当たり前の権利が、障害者には保障されず、制約されることになる。
「可能な限り」については「他のものと平等に」と置き換えられるか、憲法の二十二条条文のまま「公共の福祉に反しない限り」かに、修正していただきたい。
2.相談業務
法第二十三条 においては、「障害者およびその家族その他関係者に対する相談業務」という文言があるが、これは第二次意見にある「障害者・家族が相談業務を担う機械を増やすために必要な措置を講ずること」を反映させ、「障害者および家族その他関係者に対する相談業務については、障害者および家族による相談業務を中心として」に修正をしていただきたい。
また、法第三条に「成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるように」とあるが、成年後見制度は、法的能力(この場合は行為能力)の制限を定めているため、障害者権利条約第十二条第二項の法的能力の平等に違反し、廃止されるべきである。仮に経過措置として残すとしても、当該条文に列挙する必要はない。成年後見制度の文言を削除するか、「自己決定支援など権利利益の保護等のための」と修正していただきたい。
3.処遇
法第二十七条(司法手続きにおける配慮等)において、第30回障がい者制度改革推進会議で示されてた政府部内調整中の法案にあった「刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となつた場合において」が削除されているが、刑事施設に拘禁された障害者の放置虐待による死亡はあまた明らかにされており、手続きのみならず、刑事施設における拘禁下の処遇についても明記されなければならない。のみならず、病院等の民事施設における拘禁についても、いやしくも国権を持って拘禁した障害者に対して合理的配慮を行わないなどの差別はあってはならず、全ての拘禁下の処遇の文言を入れていただきたい。
4.附則の加筆
障害者基本法が、全ての障害者施策の核として機能するよう、
附則1 障害者に関わる全ての法律をこの法律(障害者基本法)の目的に沿って定期的に見直す事。
附則2 障害者権利条約の批准後5年以内にこの法律(障害者基本法)の見直しを行う事。
上記の附則の加筆をしていただきたい。
5.付帯決議のお願い
障がい者制度改革推進会議の議論と障害者権利条約そのものを踏まえて、医療における障害者の他のものと平等な自由な説明と同意の確保、障害者の人権保障の担保、社会的入院の解消に向けた精神科病床削減の義務化、の3点につき、適切な付帯決議を求めます。
以 上
その他情報
障害年金加算の改正成立 対象は7万人
「障害年金加算」の記事をお探しですか?最新関連記事が 2 件 あります。
改正国民年金法が可決、成立した参院本会議を終えた長妻厚労相=21日午前
障害年金受給者に配偶者や子どもがいる場合の加算2 件について、受給開始後に結婚したり子どもが生まれたりしたケースにも対象を広げる改正国民年金法は21日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立した。
厚生労働省は、今回の改正で約7万人が新たな加算対象になると見込んでいる。同法をめぐっては障害者団体から「障害者は結婚したり、子どもを持たないという先入観に縛られた差別的な規定」などと批判が出ていた。
障害年金2 件の受給者は2008年度末時点で約182万人。
障害年金の加算で法改正 受給後の結婚、出産対象へ
(2010年4月7日 12時34分 共同通信)
障害年金受給者に配偶者や子どもがいる場合の加算について、年金受給後に結婚したり子どもが生まれたりしたケースまで対象を広げる「国民年金法等改正案」は7日、今国会で成立する公算が高まった。
現行制度では、年金を受け取り始めた時点で配偶者や子どもがいるケースしか加算が認められない。しかし、生まれつき障害があり、20歳から年金をもらい始めた人がその後結婚した場合などは配偶者らは加算の対象外とされ、「不公平」との指摘が出ていた。
障害年金+の受給者は2008年度末時点で約182万3千人。厚労省は、法案成立により、数万人が新たな加算対象になり、年金額が増えると見込んでいる。
現在は、障害年金の加算+は配偶者と第2子までが年額22万7900円、第3子以降は7万5900円。配偶者加算は障害厚生年金に限られる。
7日午前の衆院厚生労働委員会理事会で、与党側が改正案を委員長提案で本会議に提出することを提案。与野党各党は8日の理事懇談会で態度表明するが、法改正には前向きで、9日の委員会で採決する。