2011年6月版ニュース抜粋

運営委員会活動報告

 

 

障害者基本法改正作業

2011年4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、基本法改正案)は、障がい者制度改革推進会議での障害者団体の意見のほとんどを無視する形で、閣議決定され、国会に上程された。

《新聞記事を引用》

◆精神医療、障害者基本法改正案に明記されず-制度改革会議の委員、部会の新設求める声も(医療介護CBニュース 4月18日(月)22時41分配信)

内閣府の「障がい者制度改革推進会議」(議長=小川榮一・日本障害フォーラム代表)は4月18日、31回目の会合を開き、上部組織の「障がい者制度改革推進本部」(本部長=菅直人首相)で了承された障害者基本法改正案について、事務局から説明を受けた。改正案は今後、閣議決定を経て今国会に提出される予定だが、説明を受けた委員からは、精神医療に関する条文が盛り込まれなかったことから、部会の新設を求めるなど、多くの不満の声が出た。

推進会議は昨年12月に取りまとめた「障害者制度改革の推進のための第二次意見」で、精神障害者の社会的入院の解消や、隔離拘束するときの公的機関の責任などを改正案に盛り込むよう提言。しかし、これを受けて事務局が作成した改正案には、精神医療への言及はなく、「医療、介護等」の条文が設けられた。3月11日には、推進本部がこれを了承した。

堂本暁子委員(前千葉県知事)は、「やはり精神障害が入らなかったことはとても残念」と述べたほか、東日本大震災での事例として、「津波が来ても、非自発的入院をしていた精神障害者は、自ら逃げるすべがなかった」と改正案に精神医療への言及を盛り込む必要性を訴えた。また、川?洋子委員(全国精神保健福祉会連合会理事長)は、推進会議での精神医療に関する議論が不十分だとして、集中的に検討する部会の新設を要求。これに対して推進会議担当室の東俊裕室長は、部会の立ち上げには多くの準備が必要なため、「部会よりも推進会議で議論すべき」と答えた。さらに、関係者へのヒアリング実施も含めて検討する考えを示した。

これに伴い、基本法改正案国会成立を阻止する方向性で活動するか、ひとまず、推進体制が新設されたことを評価し、軽微な修正等を求めて国会通過をさせて一歩前進とするかで議論があったが、最終的には、推進体制が新設されたことを一歩前進と評価し、国会通過をさせることが、JDFでの大方の一致点となっているため、全国「精神病」者集団としてJDF内での協調路線を取ることにしつつも、絶対に譲れないこととして、以下の陳情書を各議員に提出した。

 

 

国会議員の皆様へ

  日ごろからの障害者の人権保障に関するご活動に敬意を表します。

 私ども全国「精神病」者集団は1974年に結成された全国の「精神病」者、団体、個人のネットワークであり、また国連社会経済委員会の認定NGOである世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク(WNUSP)のメンバーとして障害者権利条約作成に2002年より積極的に参加しており、WNUSPの理事としても会員の山本眞理が参加しております

 4月22日、障害者基本法の一部改正に関する法律(案)が閣議決定され国会に上程されました。この法案は、評価できる点もありますが、憲法上の人権を著しく制約する文言がいくつかあります。

 私どもは、障害者基本法の改正が、障害者権利条約批准に向けた国内法整備の核であり、憲法に定められた基本的人権、さらに国際的な人権諸条約の保障する基本的人権が障害者にも平等に実質的かつ有効に適用されるための法改正であることが十分認識された上で、国会において十分な、かつ総合的な審議がなされることを求めます。

 その意味で同封の陳情書の通り、修正・加筆・付帯決議をしていただきたく思っております。

 是非、私ども当事者の意見に耳を傾けていただけること何よりお願いいたします。もし、お時間をいただけるならご説明に参りますので、ご連絡いただければ幸いです

2011年5月17日

 

 

国会議員の皆様

 

全国「精神病」者集団

障害者基本法の一部改正に関する法律(案)の審議に当たっての陳情書

 

私たち全国「精神病」者集団は1974年に結成された、全国の「精神病」者団体個人の連合体です。私どもの運営委員である関口明彦も障がい者制度改革推進会議構成員として精力的に会議に参加し第一次第二次意見の作成に精神障害者の声を反映させて参りました。

しかしながら、今般内閣府が公にした障害者基本法の一部改正に関する法律案(以下、法)には、いくつかの重大な問題があり、当該部分について下記に列挙したので、国会審議の過程で修正・加筆・決議していただきたく陳情します。

 

 

1.地域生活

法第三条の二(地域社会における共生等)には、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」とあるが、「可能な限り」とある以上、地域生活の権利、人身の自由、どこで誰と住むかという日本国憲法二十二条に示された当たり前の権利が、障害者には保障されず、制約されることになる。

「可能な限り」については「他のものと平等に」と置き換えられるか、憲法の二十二条条文のまま「公共の福祉に反しない限り」かに、修正していただきたい。

 

2.相談業務

法第二十三条 においては、「障害者およびその家族その他関係者に対する相談業務」という文言があるが、これは第二次意見にある「障害者・家族が相談業務を担う機械を増やすために必要な措置を講ずること」を反映させ、「障害者および家族その他関係者に対する相談業務については、障害者および家族による相談業務を中心として」に修正をしていただきたい。

また、法第三条に「成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われ又は広く利用されるように」とあるが、成年後見制度は、法的能力(この場合は行為能力)の制限を定めているため、障害者権利条約第十二条第二項の法的能力の平等に違反し、廃止されるべきである。仮に経過措置として残すとしても、当該条文に列挙する必要はない。成年後見制度の文言を削除するか、「自己決定支援など権利利益の保護等のための」と修正していただきたい。

 

3.処遇

法第二十七条(司法手続きにおける配慮等)において、第30回障がい者制度改革推進会議で示されてた政府部内調整中の法案にあった「刑、保護処分その他拘禁の処分の対象となつた場合において」が削除されているが、刑事施設に拘禁された障害者の放置虐待による死亡はあまた明らかにされており、手続きのみならず、刑事施設における拘禁下の処遇についても明記されなければならない。のみならず、病院等の民事施設における拘禁についても、いやしくも国権を持って拘禁した障害者に対して合理的配慮を行わないなどの差別はあってはならず、全ての拘禁下の処遇の文言を入れていただきたい。

 

4.附則の加筆

障害者基本法が、全ての障害者施策の核として機能するよう、

 

附則1 障害者に関わる全ての法律をこの法律(障害者基本法)の目的に沿って定期的に見直す事。

附則2 障害者権利条約の批准後5年以内にこの法律(障害者基本法)の見直しを行う事。

 

上記の附則の加筆をしていただきたい。

 

5.付帯決議のお願い

障がい者制度改革推進会議の議論と障害者権利条約そのものを踏まえて、医療における障害者の他のものと平等な自由な説明と同意の確保、障害者の人権保障の担保、社会的入院の解消に向けた精神科病床削減の義務化、の3点につき、適切な付帯決議を求めます。

 

以 上

 

その他情報

障害年金加算の改正成立 対象は7万人

「障害年金加算」の記事をお探しですか?最新関連記事が 2 件 あります。

改正国民年金法が可決、成立した参院本会議を終えた長妻厚労相=21日午前

障害年金受給者に配偶者や子どもがいる場合の加算2 件について、受給開始後に結婚したり子どもが生まれたりしたケースにも対象を広げる改正国民年金法は21日午前、参院本会議で全会一致で可決、成立した。

厚生労働省は、今回の改正で約7万人が新たな加算対象になると見込んでいる。同法をめぐっては障害者団体から「障害者は結婚したり、子どもを持たないという先入観に縛られた差別的な規定」などと批判が出ていた。

障害年金2 件の受給者は2008年度末時点で約182万人。

障害年金の加算で法改正 受給後の結婚、出産対象へ

(2010年4月7日 12時34分  共同通信)

障害年金受給者に配偶者や子どもがいる場合の加算について、年金受給後に結婚したり子どもが生まれたりしたケースまで対象を広げる「国民年金法等改正案」は7日、今国会で成立する公算が高まった。

現行制度では、年金を受け取り始めた時点で配偶者や子どもがいるケースしか加算が認められない。しかし、生まれつき障害があり、20歳から年金をもらい始めた人がその後結婚した場合などは配偶者らは加算の対象外とされ、「不公平」との指摘が出ていた。

障害年金+の受給者は2008年度末時点で約182万3千人。厚労省は、法案成立により、数万人が新たな加算対象になり、年金額が増えると見込んでいる。

現在は、障害年金の加算+は配偶者と第2子までが年額22万7900円、第3子以降は7万5900円。配偶者加算は障害厚生年金に限られる。

7日午前の衆院厚生労働委員会理事会で、与党側が改正案を委員長提案で本会議に提出することを提案。与野党各党は8日の理事懇談会で態度表明するが、法改正には前向きで、9日の委員会で採決する。

7・31 医療観察法廃止!全国集会実態を隠した国会報告を許さない

2011/07/31
13:3016:30
    日時 2011年7月31日 13時半から16時半
    場所
    中野区勤労福祉会館
    電話:03-3380-6946
    JR中野駅南口より徒歩5分
    地図はこちら

資料代 500円

当日問い合わせ 090-6122-7700 ※当日のみ有効
「心神喪失者等医療観察法」は、触法精神障害者を予測不可能な「再犯のおそれ」を理由に長期に渡り拘束・管理し続ける法律です。私たちは、精神障害者を閉じ込め、差別を増長させるこの法に対し、数多くの仲間と共に廃止を訴えて来ました。そして、昨年2010年に法施行後5年が経過し、国会報告と法見直しの年を迎えていました。この間、ほとんどと言っていいほど明らかにされてこなかった法の運営実態が詳らかにされることが求められていました。しかし、厚生労働省、法務省は具体的な実態が一切明記されていない表面的な数値を並べただけの報告書を作成し、2010年11月26日に国会報告の閣議決定を行いました。国会の場で一切の議論をすることなく、議員に配布するだけで国会報告としたのです。今回の全国集会では、国会報告では明らかにされることがなかった医療観察法が抱える問題点を改めて指摘し、明らかにされなければいけない問題点は一体何かを皆さんと共に考えて行きたいと思っています。仙台の当事者山本潔さんから「震災と精神障害者隔離」について特別報告をいただきます。 なお各地からの障害者の参加者には上限5000円の交通費補助いたします
共同呼び掛け

    心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク
    国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会
    心神喪失者等医療観察法をなくす会
    NPO 大阪精神医療人権センター

連絡先
東京都板橋区板橋2-44-10-203 オフィス桑気付
E-mail:kyodou-owner@egroups.co.jp Fax:03-3961-0212
TEL:090-6122-7700(当日のみ有効)

死刑廃止国際条約発効20周年 記念集会いま、私たちはどこへ向かうべきか~死刑の論理を越えて~

2011/07/09 13:002011/07/10 04:00

2011年7月11日、国連の死刑廃止国際条約(自由権規約第二選択議定書)が発効して20年を迎えます。この20年間で、73カ国がこの条約を批准し、死刑を廃止した国は83カ国から139カ国へと56カ国も増加しました。しかし日本では、1995年の阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件などを機に、社会の厳罰化傾向が強まり、1993年に死刑を再開して以降84人が処刑されています。
3月11日の東日本大震災により、多くのいのちが喪われました。さらに東京電力福島原子力発電所の事故により、広範な地域の人びとが深刻な影響を受けています。いまだ多くの方が避難を強いられ、先の見えない不安と苦痛の中に置かれています。
多くのいのちが喪われた日本社会で、私たちがこれから進むべき道はどこにあるのか。死刑廃止をめぐるこの20年間の世界の動きを見つめながら、あらゆる人びとのいのちと尊厳が守られる社会への道を希求して、死刑廃止と日本社会のこれからをテーマとする集会を開催します。

日時: 2011年7月9日(土)13:00~16:00(予定)
場所: 日本大学法学部三崎町キャンパス10号館1階1011ホール
地図・アクセス: http://www.law.nihon-u.ac.jp/access
講演: 阿部浩己さん(神奈川大学法科大学院教授)
「死刑廃止国際条約発効後の20年~世界はどのように変化したか~」
対談: 雨宮処凛さん(作家)+太田昌国さん(民族問題研究)
「震災以後の日本社会のあり方について~死刑の論理を越えて~」
定員: 270人
資料代: 500円(25歳以下無料)
※講演や対談の他、死刑廃止を求める市民団体などからのアピール を予定しています。
※集会終了後、近くの「西神田公園」から、死刑廃止を求めるデモ を行う予定です。
主催:
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90
お問合せ:
アムネスティ日本・死刑廃止ネットワークセンター東京
TEL:03-3518-6777/E-mail:adp-team@amnesty.or.jp
死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90
TEL.03-3585-2331/FAX.03-3585-2330

2011年5月 全国「精神病」者集団ニュース抜粋

ごあいさつ

このたびの震災に遭われました皆さまには、心よりお見舞いを申し上げます。大変な状況でございますが、一日も早い復興を祈っております。

私は、3月11日、院内集会のため上京(東上)していたため、交通が寸断されたことで、自宅(青森)に帰れなくなるという事態になりました。飛行機のチケットも殺到しており、6日後の予約となりました。

一方で、国会の会期が延びに伸び、既に半年になろうとしています。震災のドサクサに紛れて、共謀罪であるコンピューター監視法が上程されています。また、村木厚子元局長の冤罪事件の裁判(特捜検の責任を追及する裁判)も、メディアでは、取り上げられることがなくなりました。

この時期だからこそ、やらなければならないことがあると思います。ただ、私たちは、決して、「がんばろう!日本!」という安易な方向に流されることはせず、冷静に情勢を見見極めて動いていければと思っています。(桐原)

 

 

 

◆被災地から(時代は変わる)

宮城精神しょうがい者団体連絡会議(宮精連) 山本潔

僕はその時、近所のスーパー駐車場にある銀行ATMで幾ばくかの現金を下ろし、車に戻ったところだった。突然、(地震多発地帯に居住する住人としても)今までに経験したことのない強烈で長い長い揺れに見舞われた。車は突然ダンスを踊りだし、僕の出来ることは、サイドブレーキを引き、ハンドルを力いっぱい握り締めることだけだった。周りの建物や木々、電柱などは異様な音を立ててグニャグニャに揺れている。スーパーからは、買い物客も店員も駐車場に転げ出てきて、地面にしゃがみこんでいる。地面には地割れが走り、隣接する信号機は消えた。何故か僕はカーラジオのニュースを聴くことを忘れ、代わりにボブ・ディランのCDが鳴っていた。♪The time they are a changingお馴染みの「時代は変わる」だ。あれから2ヶ月経つが、このフレーズはその後、幾度も僕の頭のなかをリフレインすることになる。

その日から、電気・ガス・水道・電話やネットなどの通信手段・ガソリンなどの移動手段・灯油などの暖房手段など、ライフラインが完全に断たれた。最後にガスが復旧するまで、約1ヶ月の耐乏サバイバル生活だった。カネは役に立たなかった。大小問わず商店は店を開けることが出来なかったからだ。

しかし、小さな変化があった。僕らの住む団地は高齢化が進む古い公営団地で、お年寄り・障害者・年金生活者などが多い貧乏人の巣窟?だが、普段、会釈ぐらいしか交わさなかった隣人たちによる「助け合い」が始まったのである。近くの小学校に給水所が出来たが、足の弱いお年寄りにとって、何リットルもの重い水を運ぶのは不可能だ。この貴重な水をお年寄りに運んでくれる人々が現れた。お年寄りはそんな人に心底感謝してこれまた貴重な食料を「お返し」する。翌日も水はお年寄りに届けられる。お年寄りはまた若干の食料をお返しする。互酬の復権だ。自然発生的に非資本主義的コミュニティーが甦ったのだ。♪The time they are a changing

津波で家を流され避難所暮らしをする友人を訪ねた時、彼は言った。「野次馬でも何でも、とにかく被災地を見て欲しい。話はそれからだ。」それから、僕は友人がボランティア志望などで来仙すると、まず最初に津波で壊滅した沿岸部被災地を見せることにした。TVなどで見慣れたはずの津波被災地を肉眼でみると、その印象はぜんぜん違う。瓦礫の山や、流された車などが、圧倒的な質量をもって迫ってくる。そして、そこに人々の「生活」が存在していたことや、無数の生と死があったことが、いやおうなく想起される。大抵のひとはカメラのシャッターすら切ることが出来ない。そして、考える。この現実を前にして、自分は何が出来るのか?と。答えは風に吹かれているのかもしれないが、僕の頭のなかでは、ディランが歌っている。♪The time they are a changing,

去る5月1日、仙台で2つの反原発デモがあった。ひとつはプレカリアート系、もうひとつは新左翼系の主催するデモで、僕は2つとも参加することにした。どちらも200名ほどの小規模なデモだったが、若い世代が多く士気は高かった。何よりも街頭の人達の反応が違っていた。デモ隊は拍手で迎えられ、デモに飛び入りする市民も現れた。Fukushimaの出来事により原子力ルネサンスは終止符をうち、世界のひとびとは原発に頼ることのない新たな生き方をせまられている。世界中の反原発・脱原発の世論は、この先、燎原の火のごとく広がっていくだろう。♪The time they are a changing

未曾有の大災害を前にして、「自分たちになにができるのか?」。われわれ宮精連は何度も話し合いの機会を持った。その結果、事務所を借りて、最低2年間の長期にわたる電話相談を始めることにした。題して、心の「ピアサポート」相談電話。相談者の話を傾聴することを主に、適切な精神保健福祉情報を提供し、相談者の人権を守ることや、彼らのエンパワメントなどを目指す。今ある精神保健福祉体制を補完するのではなく、それを乗り越える相談業務を展開しようと意気込んでいる。相談電話は5月31日から開始予定。ただいま、皆さんのカンパを募集している。趣旨に賛同していただける方は、ぜひ協力をお願いしたい。

相談電話番号 022-308-6067

カンパ振込先 七十七銀行長町支店 (普)251 5782074

心の「ピアサポート」相談電話 代表 山本 潔

 

JDFみやぎ支援センター滞在報告

・運営委員 関口明彦

日本障害フォーラム(JDF)では3月11日の東日本大震災を受けて19日に対策本部を設置しました。対策本部には13の加盟団体の代表が入り、私(関口)も全国「精神病」者集団(JNGMDP)として代表者会議に出ているので、本部に入ったことになります。本部は3月30日(水)にまずJDFみやぎ支援センターを開所させました。4月2日(土)にJNGMDPのオフ会で桜の花見をした時に、誰かを派遣する必要があるのでは?との話が出て、私が行くことにしました。とはいえ、自分の薬の準備などもあり、出発は翌週の6日(水)になりました。寝袋、PC 持参です。宮城精神障害者団体連絡会(宮精連)議長の山本さんに連絡を入れたところ、煙草を吸うなら持ってこい、売ってないぞ、との事。

朝早くにバスが仙台駅に着くと、山本さんが車で迎えてくれました。JDFセンターに行くのは山本さんも始めてで、少し迷いながらも到着しましたが、途中で津波に被災した地区も見せていただき、その凄まじさに言葉もなく写真を撮ることも出来ません。13日(水)に帰京するまでに、3日間被災地を回り、主な2つの会議に出席。

JNGMDPは山本氏を被災地担当運営委員に迎えて宮精連に協力して被災地支援を行います。被災3県の精神の当事者に向けた情報拠点を仙台に確立し、ピア相談、当事者の薬調達のコーディネートをはじめ、現地主体での活動を後方支援することにしています。山本氏も入った運営委員会議を2回開きました。現地でもゆめ風基金から取り敢えずの拠出金を得る事が出来ました。最低限の額ですが。

 

・運営委員 桐原尚之

私は、4月10日から23日(21日、院内集会参加のため東京にいましたが)まで、JDFみやぎ支援センターに滞在しました。

私は、最初、白石市にいきました。そこは、赤紙(人が住めないくらいの家の状態)100軒を超え、黄紙(人は住めるが家が壊れている状態)が約300軒あったといいます。しかし、福祉避難所に避難して来た人の延べ数が0名であり、津波の影響をうけなかったことから、大きな被害はなかったといいます。帰りに、亘理町を通って帰りました。そこは、宮城県内で壊滅状態とされる地区で、役場が機能不全、津波による被害も甚大であったところです。まず、私の目に飛び込んできたのは、道路の脇に直径3メートルくらいのボードが落ちている光景でした。海岸から4キロは、離れていると思います。そこから流れてきたわけです。そして、よく見ると幾つかの建造物の一部が崩れかかっていて、地震の凄まじさを理解しました。しかし、私が理解したものは、俗に「問題なし」とされるものでしかありませんでした。次の瞬間、車で道路を直進していくと、いきなり一面瓦礫の山となりました。一瞬で違うところに来てしまったような、そんな感じでした。あとで確認したら、沿岸部は、瓦礫すらない街が跡形もなく消えた状態、沿岸部でも陸に近い所は、人が住めないくらいの瓦礫の山、瓦礫の境目から内陸にかけては床上浸水したため営業できない店舗が群れを組んだ状態、そして、本当の内陸部は、地震の影響で建造物にひびがある程度で済んだ、という感じでした。津波で流された、大型ダンプは車体が変形し、ほとんどの民家は土台だけ残してどこかに流された模様、漁船と車と民家の一部が一面に落ちている光景には、絶句しましたが、それ以上に、「これをどうするのだろう」という気分になりました。

その後、12日から20日にかけて、名取市閖上、仙台市若林区荒浜、塩釜、七ヶ浜、東松島、牡鹿、鮎川、女川、雄勝、石巻と行き、改めて、この一面瓦礫の山の光景が、茨城県から青森県まであるのかと思わされました。とくに、雄勝は、酷い状態でした。役場の建物が津波の被害を受け、役所の職員も流され、臨時のプレハブ役場での営業も淋しい雰囲気がありました。一面瓦礫で町の8割は流されたような雰囲気でした。自衛隊が遺体を探すために棒で瓦礫をつつきながら歩き、瓦礫撤去用の重機も瓦礫をもちあげられず、一回の動作に5分以上を費やしていました。ここは、津波で幹線道路の橋が流されたため、別の道路を削って作ってから自衛隊や行政の手が入ったらしいです。

私は、被災した障害のある仲間5名と接触をもつことができました。皆、一様に差別と排除に悩んでいました。避難所から排除され、それが正当化されることに恐れていたのです。ある地区では、保健師が支援につなぐと称して、避難所から障害者を排除していたこともわかりました。そして、その悩みを一人で抱えなければ排除されることも、外部に相談できないでいることも、はっきりしました。こうした場合、どうすればいいのか、わかりません。

 

・運営委員 佐々井 薫

22日から28日までJDFみやぎ支援センターに行って来ました。

初日に仙台の山本さんに車で被災地を案内していただきましたが、想像以上の被災状況に言葉が出ませんでした。

地震被害も、さることながら津波被害の被災地には町や村が地震前まで存在し人が暮らしていたことがイメージ出来ないほど。壊滅と言うより、消失と言う言葉が当てはまるように感じました。山本さんに避難所が見たいと言った後で大変失礼なことを言ってしまったと思いました。

被災者の方々は過酷な避難所生活をしている中で、障害のある人たちは、さらに過酷な避難所生活を強いられていることと思います。みやぎ支援センターの避難所訪問に動向させていただく中で感じたことは行政の閉鎖的対応があるということです。ほとんどの避難所では「うちには、障害のある方はいません。何の問題もありません」と門前ばらいをされることが多かったです。でも何度か通ううちに避難所生活をしている方から以前、いたけど問題があって何処かへ移って行ったよ、という話が聞けました。門前ばらいをされた避難所の外で偶然、障害のある方と出会い話を聞かせていただくこともありました。

色々な団体が入って来ていて、迷惑をかけるようなことも、たくさんあったということも聞きましたが、行政自体が被災しているので手の届かないことがあるのも当然です。一部の地区では手を貸してほしいとの依頼もあり保健師さんなどとも連携を取りながら継続支援をしていることもあります。

行政では、手が届かない障害のある方の支援に民間団体が、どう関わっていくかが今後の課題だと思います。と同時に被災地の状況も変わってきていることを見極めて、新たなニーズも出ていることも見逃せません。

今、倉敷の自宅に帰っていますが、22日の朝には被災地にいて、その日の午後には新宿西口のネオンと人ごみの中にいて、翌朝には倉敷に帰って。頭が混乱しています。