2010年2月全国「精神病」者集団ニュース抜粋

ごあいさつ

2010年となりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。東北地方を中心に、寒波が相次いでおります。大変な時期でありますが、くれぐれも、お体をお大事になさってください。

 先日の節分、エホウマキなるものを願い込めていただきました。当然ながら、「2010年は35万人の釈放」と願いました。強制的に拘禁された仲間は社会的入院患者と呼ばれて、地域移行支援なる専門家の職域と化されています。しかし、我々を閉じ込めているのは、強制入院制度に他なりません。我々の地域生活の権利を実現するには、第一に「強制の廃絶」として、我々、「精神病」者をいたずらに拘禁し、自由を奪う、精神保健福祉法と医療観察法の廃止しかありません。現に2008年に医療保護入院の件数が過去最多となりました。これを論じずにして、地域移行支援で社会低入院を解消しようとは、愚の骨頂とも言うべきでしょう。

 2010年7月には、医療観察法改正案が大凡まとまると噂に聞きます。それまでの間、我々「精神病」者が、数々のアクションを起こしていかなければなりません。本ニュースには、医療観察法廃止に向けた署名使用を添付しました。各地で署名集めを行っていただければ幸いに思っております。(桐原)

 

 

精神医学をどう考えるか

                  桐 原 尚 之

 ニュース11月号に掲載した「精神障害の社会モデル理論形成に向けて」について、数名の方からご意見をいただいた。幾つかの説明不足もあったようなので、補足したいと思う。

 意見は、「精神障害を社会モデルに当てはめると、サービス受給の根拠たる疾病を否定することになるのではないか。実際に体も大変であり、社会モデルや社会構築主義だけでは解消できない」といったものである。確かに、一元的に見れば、身体=疾病、社会=障害といったことになろうし、「精神障害の構造論」からは、そうとも読み取れる。

 しかし、疾病と社会の関係性は、時限を違える。故に、疾病は社会モデルに包括されうる概念である。ただし、社会モデルは疾病に包括されない。

 たとえば、風邪をひいている労働者がいるとする。38.2°の体温。仕事は休んだ方がいいだろう。しかし、休養は許されないといった圧力が職場内にはあり、その圧力は社会的なものと定義していいだろう。一方で、それによって風邪を悪化させたなら、それは疾病だけの問題とは言えない。社会的に追い詰められた結果といえる。だが、疾病は別にある。かといって、疾病の治療では解消できない。これが障害であると考える。同時に、風邪をひかなければ、障害が現れないわけではなく、常に障害があり続けるからこそ、疾病等によって明確化するのである。

次に前回の投稿には、私の理論を裏づける病因論が記されていない。病因論とは、精神病の原因仮説のことを意味する。現時点では、原因不明とされている。有力な説は、ドーパミン仮説、セロトニン仮説に代表される、脳病論というものである。その他、こころに重点を置く心因論、遺伝を原因とする遺伝論、或いは、内因論と外因論など、様々な仮説がだされている。

 私は、病因論としてドーパミン仮説等の脳病論を批判し、ウィルス説(疲労論)を支持する。ウィルス説と聞くと、多くの者が驚く。というのは、ウィルス感染を想像するからである。しかし、ウィルスは外部から内部に感染し、悪さを引き起こすものばかりではない。人間の体には、既に無数のウィルスが潜伏している。ウィルスが感染する理由は、ウィルス自身が自立して生きることができず、他の生物に寄生しながら生きるためである。すると、ウィルスは、媒体となる生物と共存関係にあると言える。もちろん、中には悪影響を及ぼすものもある。が、多くは、免疫によって体内侵入後に破壊され、再侵入を不能な状況にする。その過程で、悪影響を及ぼすものはわずかであり、基本的に疲労等の理由で弱っているときにそうなりやすい。

 風邪も同様の原理である。疲労状態でウィルスが侵入するため、正常な処理ができなくなり、悪影響を及ぼす。ウィルスを破壊するために、発熱し、体温が上昇する。咳やくしゃみ、鼻水がでる。これら症状が病気なのではない。症状は、原因に対する生理現象である。

 精神病因のウィルス説(疲労論)とは、上記の生理現象としての症状に対して原因があるとする説である。人間の体にすむウィルスのひとつに、HHV-6(ヒトヘルペスウィルス6型)というものがある。HHV-6は、宿主である人間が死ぬと自身も死ぬため、人間との共存関係を要する。人間の疲労は、場合によって過労死につながる。それをHHV-6も避けたいわけである。すると、なんらかの症状を引き起こし、体を動けなくしたり、世の中に従わないようにしたりする必要が出てくる。ちなみに、ウィルスが脳や意識に影響をもたらすことは、野口英世の梅毒研究で実証されている。HHV-6は、人間の疲労が過労死の方向へ向かった時に、「うつ」という症状をもたらし、強制的に休ませる。過労死しないことで、HHV-6も延命できる。

 さて、精神病の治療は、症状の軽減に焦点があてられる。そして、症状を抑えるための治療を行う。しかし、症状はあくまで、原因を取り除くための生理現象である。生理現象を抑えるための投薬治療は、逆に言えば、病気を悪化させる治療ともいえる。近代医学でも、症状の軽減を主流とすることは極めてナンセンスである。

一方で薬のことが心配になる。仮にも薬は脳病論を基にした治療法と信じられているからである。確かに、急性期に薬を投与したら安定したとの臨床報告はある。しかし、薬の効果で安定したとは言えない。なぜなら、製薬会社の薬剤製造過程やデータは公開されていないため、どのように作用するかを科学的に証明できないのだ。よくある薬効解説は、あくまで海外の製造会社の解説を邦訳したものに過ぎない。また、薬剤の配合も海外から輸入しただけに過ぎない。原因がわかっていないのに、薬効を科学的に証明することもできるはずがない。先述した臨床報告も、薬との因果関係があるのか、薬とは別の要因で安定したのか、一切が不明なのである。

また、薬を辞めると体調を崩すことがある。それも、薬を辞めると体調を崩すかも知れないが、薬を飲まないから体調を崩したと考えるのは妥当ではない。科学的には薬効の証明はできない。ならば、覚醒剤のように薬を辞めたこと自体が体調に影響することも有り得る。それは、慢性疾患が薬を飲まずに体調を崩したのと次元が違う。

 すると、特定の精神病については、医学的アプローチよりも社会的アプローチの方が適切な場合が予測できる。それは、保健指導のように専門家が作った生活リズムの枠を、自身の生活に当てはめることではない。むしろ、そんなことの方が、問題があると思う。私が言う社会的アプローチとは、例えば、労働時間が9時~17時が標準とされているために、エネルギー消耗をきたし、結果的にうつ病となるわけだから、労働時間という障害を取り外せということだ。

これは、確かに生活リズムと直結するが、それ以上に、障害者がいる世の中を意識した社会設計を進めるものであると考える。もっといえば、明らかな狂いを持つ人間が、社会の中で自由に狂えることこそに、我々の解放があるのだと思う。

 この意見は、冒頭の指摘にあるような、社会構築主義的に泥酔した社会モデルでもなく、医学的なアプローチと社会的アプローチの共存によるリハビリテーションを答えとするものとも異なる。純粋に「病」者解放に向けた社会モデルであると思う。

 可能であれば、ご批判は成文化された文字であった方が、周囲にも親切である。会員は、可能な限り、口頭によってではなく、投稿による反論をしていただければ幸いである。

 
 

障がい者制度改革推進会議関連情報

構成員関口のおしらせとお願い
https://www.jngmdp.org/info/698
 
目で聴くテレビ「障がい者制度改革推進会議を傍聴する会」を
開催する聴覚障害者情報提供施設など
上記の施設について、連絡先を含むPDF
http://www.jfd.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2010/02/20100212-ksk.pdf

運営委員会活動報告

医療観察法廃止に向けた活動

○ 日本弁護士連合会と各弁護士会への働きかけ

 最近の日本弁護士連合会の医療観察法の動きの一つとして、「改正して、よりよい法律にしよう」というものがあります。「よりよい」とは、基本的には良い法律だけども、悪い部分もあり、悪い部分は修正し、良い部分は使っていこうということなのだと思います。ところが、医療観察法は、精神障害者だけに犯罪の可能性があるかないかを判定したり、強制的な医療をしたり、結果として自殺者を13名もだしたりと、基本的には「破綻した駄目な法律」としか言えない状況なのです。基本的に破たんしている法律を、「よりよく」なんて、できるはずがありません。法律の存在自体が悪い場合は、法律をなくすことでしか、「よりよい」状況はつくれません。

日本弁護士連合会は、見直しに向けて心神喪失者等医療観察法について意見表明を準備中と漏れ聞いています。

そこで、2009年12月26日に、右の要請書を日本弁護士連合会に申し入れました。ところが、日本弁護士連合会からは、なんら返事がありません。検討中なのか、警戒しているのか、相手にもしていないのか、そのへんは不明ではあります。が、法改正の時期は刻々と近ずきつつあります。

そこで、2010年1月28日に、地域の各弁護士会宛に日本弁護士連合会に当該要請書を申し入れたことをお知らせしたうえで、当該要請書の内容を検討いただき、日本弁護士連合会に働き掛けてほしい旨の手紙を出しました。

 「精神病」者運動と日本弁護士連合会は、1970年代から反保安処分運動を共にしてきました。日本弁護士連合会が反保安処分を貫いた歴史は、我々にとって、大変心強いものでありました。その関係が医療観察法廃止運動に引き継がれていることを、望んでやみません。

日弁連への要請文

https://www.jngmdp.org/announcement/666

 

○ 賛同署名集め運動

「共同声明 私たちは医療観察法の廃止を求めます」(心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク・心神喪失者等医療観察法をなくす会・国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会・NPO大阪精神医療人権センター)への賛同署名活動をしております。

 ことし2010年は医療観察法の「見直し」の年です。施行後の4年間は「共同声明」にあるように、様々な問題が起こっています。昨年4月で1400名を越える精神障害者に対するこの法による申立が行われ、8割を越える人たちがこの法の強制医療下で自由を剥奪されています。その結果、この4年間で13名(入院中3名、通院中10名)もの精神障害者が自殺に追い込まれるという事態にまで至っています。

 私たちはこのような悪法は廃止するしかなく、法の「見直し」のこの2010年を廃止の年にしたいと考えています。この共同声明への賛同の取り組みは2008年11月から開始しましたが、更に拡大し、内閣総理大臣、法務大臣、厚生労働大臣等に提出していきたいと考えています。

 賛同署名が本ニュースに添付されていますので、各地の会員の皆様にも、取り組みをよろしくお願い致します。10名連記となっておりますが、1名でもかまいません。なにとぞよろしくお願いいたします。

 

署名用紙は以下からダウンロードできます

https://nagano.dee.cc/haisisyomei2.doc

□署名第一次集約 2010年3月末
□署名集約先
東京都板橋区板橋2-44-10ヴァンクール板橋203オフィス桑
医療観察法を許すな!ネットワーク
*個人署名です。
署名後にコピー・ファックスしたものは無効ですので、直筆のものをお送りください

署名呼びかけリーフレット
以下からPDFファイルをダウンロードできます
表面
裏面



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